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S4-5 17日目:崩落した橋からの生還、闇夜にフランカー [ソーサリー4:王たちの冠]

思わず立ちすくむ。橋はゆっくりと左右に揺れている。切れた綱のほつれた端部が片側にはじけ、それから向こうに飛んでいく。
できるのは走ることだけだ。
踵を返して走ると、その弾みでロープは完全に切れてしまった。
踏板がひっくり返った瞬間、君は左腕をロープに絡ませ、そして落ちていった…。

落ちながらも登っていく。しばらくして、分断された橋の半分が、君もろとも岩壁にぶつかった。衝撃でロープを掴む手が緩んでしまう。
もう一度ロープの端を掴むものの、再び崖の岩壁に身体をぶつける羽目になる。
息を整えるために少し間を置く。ロープが1インチほど滑る。

登攀は非常な努力を要した-が、ありがたいことに、岩壁はゴツゴツして、いい足掛かりを与えてくれた。半ば登り、半ば歩きながら、崖の上を目指す。

君が身体を引き上げた時、ついに支柱が倒れ、橋は峡谷へと崩壊していった!橋桁や木片が数秒間宙を舞った後、眼下の霧の中へ見えなくなる。

道に沿って歩き続け、しばらくしてから一息つく。
夜の帳が下りた。どこか安全に眠れる場所を見つけるべきだ。もし夜通し歩き続けたなら、体力が落ちてしまうだろう。空腹なら尚更だ。だが、この丘は丸見えなので休めそうもない。
峡谷の崖っぷちに岩が一つ突き出ている。
峡谷の北側は急ではあるが、ありえないというほどではない。目の届く範囲でも、切り立った急斜面が眼下の草地に向かってなだらかになっているのが見える。
突き出た岩はまるで鉤爪のようだ。奈落の縁に頭を突き出し、斜面を見下ろす形になっている。向こう側の面は鮮やかな緑色の苔が厚く覆っている。
手のひらいっぱいに苔を掴む。みずみずしくて新鮮だ。
恐る恐る味わってみる。爽やかで独特の風味がある。
もっと口に放り込んで汁をすすると、君の身体は癒されるような暖かさで満たされた。

道は岩だらけの大地を横切って緩やかに上っている。
ここはほぼ峠の頂上で、どちら側にも急な斜面が切り立っている。ここなら静かに休めそうだ。
横になれそうな張り出した岩を見つける。
今はもう空腹ではない。もっと食べればさらに体力がつくだろうが、飢えているわけではない。
目を閉じて、疲労が身体を覆うのに任せる。

真夜中にハッと目を覚ます。黒い人影が君に忍び寄ってくるのが目に入る。
「誰だ?」
不満そうにも満足そうにも聞こえる声がした。「今なら俺の足音が分かるだろう、アナランド人。」
人影は君のそばに座った。彼が君のそばに来れるよう、場所を空けてやる。
「寒い夜だ、ここは悪の影に覆われているからな。」声が続ける。
「俺は怖くなどない。」君が言う。
「俺は恐れというものを知らぬ。」フランカーが応じる。「俺は生きながらにして死んだ人間だ。暗殺者には慈悲を施されることは許されていない。それでもなお、俺はここにいる。」
「俺を闇討ちするつもりか?」
「そんなことは決してしない。」ほんの少しの間、彼が君の肩に手を置く。「もしあんたを殺すなら、目を覚ます前にそうしていた。さあ、休もう。」

そうして夜は過ぎていった。
だが、翌朝には彼はいなくなっているであろうことも、君には分かっていた。


【変化点】
・現在/最大体力:11/17→8/17(岩壁に衝突)→12/17(苔)


【感想】
橋を渡る際に精霊に祈るなどすれば無事に渡り切ることもできるのですが、いつものように(笑)、主人公には紆余曲折を味わってもらいます。
そして、フランカーがまたもや登場!まさかの皆勤賞。ここでは主人公の性別を問わず、ラブロマンス的な選択肢も出てきます。が、このブログは硬派路線ですので。
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コメント 2

伝説の勇者

切れた吊り橋ごと岩壁に叩きつけられるって、体力点3のダメージ程度では済まないような気がします。
そこらに生えてる苔を食べるって、木の実やキノコを食べるよりも勇気がいるような。
こんなに早くフランカーが顔見せ程度に(暗くて顔は見えませんが)出てくるとは。今度はどこで出会うのか楽しみですね。
by 伝説の勇者 (2019-06-16 22:03) 

teamtomtom

この苔は自然界の魔法を吸い上げる性質がある、といった設定でもない限り、お腹が膨れる気はしませんね。
フランカーとは要塞のとある場所で再会します。個人的には納得いかないのですが…。どうも第4部は、映画のようなドラマチックな展開を狙いすぎな気がして、そこが鼻につきます。
by teamtomtom (2019-07-08 22:12) 

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