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S4-27 19日目:少女の幽霊現る [ソーサリー4:王たちの冠]

廊下からざっと見たところ、奥の部屋は個人的な寝室のようだ。
だが中に入ると、そこには暴力が振るわれた形跡があった。
先ほどの大部屋と違って、家具は粉々に壊れ、所有物がそこら中に散らばっている。半分になった鏡が枠にまだ納まっているが、その木片は床に落ちている。
全く手つかずなのはベッドだけだ。苔むしたシーツの上には一片の覚え書きがある。
曇った鏡を覗き込む。この旅がどれほど君を老けさせたのか気付かされる。
その時、肩越しに何かがちらっと映る。何かが動いた?
さっと振り向くが、何もいない。
次に、椅子の足を手に取りながら、めちゃめちゃになった家具を眺める。
どこか恣意的に壊したように思える。乱闘ではこんな風にはなるはずがない。むしろ、誰かが直接家具を壊したかのようだ。
ベッドから覚え書きを拾い上げて読んでみる。

 恐怖だ!恐怖に包囲されてしまった。この宿は悪霊に憑りつかれたのだ。逃げねば。
 このメモを読んだ者は俺の忠告に従え。逃げろ!今すぐに!

背後から甲高い声がした。「でも、それは嘘なんだから。」
ぱっと振り返る。だが誰もいない。
それでも再び声がした。今度は廊下からだ。「彼は午後を丸々使って、それを書き上げたのよ。」幼い女の子の声のようだ。
「姿を現せ。」君が呼ばわる。
「私はここよ。」広間から返事が、そしてくすくす笑いがした。「鬼さんこちら。」
部屋から動かず、剣の辺りに手をさまよわせながら様子を見る。
何も起こらない。
「まだそこにいるの?」声が尋ねる。「こっちに来て欲しいのに。今までずっと話し相手がいなかったんだから。」
これ以上めぼしいものはないし、この部屋を出るしかなさそうだ。

部屋を出て廊下に戻る。
そこには女の子が立っていた。身体の前で腕を組んでいる。肌は生気がなく、緑色を帯びている。片方の目は失われており、髪の毛はわらのようだ。
君を見上げて微笑む。だが息をしている様子はない。
少女の幽霊が、足から足へ体重を移して踊る。「この状態だと何かを書くのはとっても大変なのに、それでも『彼』はあえてそうしたの。それくらい彼は頑固ってこと。家具の方はもっと楽だったみたい。私も少し手伝ってあげたわ。」
君を見つめる彼女の、瞳のない方の眼窩からミミズが這い出てきた。それは彼女の顔をずるずる這いずると、今度は耳の穴に入っていった。
君が幽霊に遭遇したのは彼女が最初ではないが、カーレの北門で会った時のロラグよりも状態は良くない。


【感想】
さらにホラーな展開。
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