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S4-29 19日目:解除の呪文らしき巻き物を渡される [ソーサリー4:王たちの冠]

「何が君達をここに縛り付けているんだ?」
「古い呪文よ、」少女が言う。「たった一つの単純なね。」
「誰が唱えた?」
フィルドリックが咳払いする。「年老いた誰か、じゃない、遥か昔の誰かだ。玄関を横切って唱えられた拘束の呪文が、霊魂を建物内に封じている。」
「その時、あんたもいたのか?」
「ああ、そうだと思う。呪文が唱えられた時、俺は生きていたような気がする。この子がどうだったかは覚えていないが。」
少女がその場でくるりと回る。「誰にも分かりっこないわ。」
「あんたは信用できないな、フィルドリック。」
「そんなことはどうでもいい!」突然、彼が絶叫する。「俺はあんたに出ていってもらいたいだけだ!」

少女が手招きして、君とフィルドリックを大部屋に案内した。
君が彼女についていくと、フィルドリックは悪態をついてぶつぶつと独り言をつぶやいた。記憶の糸をたどっているのだろう。
大部屋に入ると、少女はさっき君が気付かなかった古びたかごを指さした。かごの下の方に、かび臭い巻き物が詰め込まれている。
「これは何だい?」
「あんた、のろまなの?」急に冷たい声で彼女が命じる。「これは呪文よ。さあ手にとって!」
巻き物を拾い上げる。年月を経てひび割れているが、まだ読める。それには、宿にかけられた拘束の魔法に対する対抗呪文が簡潔に書かれている。君ならたやすく唱えられそうだ。
「フィルドリックが2,30年前にあの覚え書きを書いた後、私が呪文を写したの。」少女が言う。「古い方は使い物にならなかったし、間違った言葉で書いてあったから。」
フィルドリックが次第に興奮してきた。
「その元の呪文はどうやって手に入れたんだ?」
「ある旅人が残していったわ。」彼女が言う。
フィルドリックが首を振る。「それは道理に合わない。対抗呪文は対象となる呪文に合わせて作らなければならないのに。それは誰かが作ったに違いない。でもそれが誰か思い出せない。」
「それが何か問題?」少女がきつく言う。「いいこと?呪文はちゃんと働くわ。私達のために使ってちょうだい。」少女が君の腕を引っ張ろうとしたが、彼女の指は君の肘を通り抜けた。
「それが効き目があると、どうして分かるんだ?」君が尋ねる。
少女が丸い眼窩を君に向ける。「きっとそうなの、間違いないわ。」
呪文に視線を落とす。そこには星座しか書かれておらず、どんな星がそれを形作っているのかも、どんな意味があるのかも記述されていない。本当に何らかの効果があるのだろうか?
「これは引き受けられないよ。」君が少女に告げる。
フィルドリックがほっと安堵する一方で、少女が口をとがらせる。口の端が顎まで垂れ下がっている。
急に部屋が冷えてきた。


【感想】
ここでフィルドリックが、最初に「Someone old」と言ってから、「Someone long ago」と言い直しています。死者は知性が曖昧になっている模様。
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