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ソーサリー1:シャムタンティの丘 ブログトップ
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S1-1 夢の中のプロローグ [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

君はカクハバードの荒野を歩き続けてきた。カーレと悪意に満ちたバクランドを抜け、マンパンへと至る全ての道のりを。
君は罠を、盗みを、大蛇を、執念深い神々をも切り抜けて生き残った。
そして、今やそれがここにある。王たちの冠だ!
冠は鍛えて造り出されたものではなく、単に発見されたのだという。下級歩兵出身ながら、東の世界では最大の帝国の皇帝へと登りつめた改革指導者シャランナによって。
その冠の周囲は感化の力で満たされるという。

しばし様子をうかがう。
冠は光の台座の上に無防備に鎮座している。幾多の困難の後だというのに、本当にこのように簡単でいいのだろうか?それとも、これはまた別の欺瞞なのだろうか?
はたして、君がそう思った途端に、冠の姿はちらつき始めた。君は近づいてくる何かを見ようときびすを返した…。
これは罠だ!

…そして君は飛び起きた。
実際の君は、前哨部隊の居留地の小屋の中、一人で夢にうなされて疲れ切っていた。想像もつかない君の長旅は、まだ一歩も始まっていないのだ。


【初期状態】
・現在/最大体力:20/20
・金貨:なし
・所持品:なし
・精霊:ヒョウ(豹)

【感想】
このリプレイを始めるに至った経緯は、下記リンクにて。
http://c.webry.info/at/gamebook/Fatima/commentlist.htm?circleID=e9cfd917a8&categoryID=2&topicID=2
ではさっそく、紙媒体の原作から大きく生まれ変わった「ソーサリー!」のリプレイを始めたいと思います。まずは最初の導入部から。
このAndroid版「ソーサリー!」は本当にスゴイ!かつての”くすんだ”雰囲気はそのままに、内容の拡充とゲーム性の向上に成功していると断言できます。このアプリは英語版のみですが、プレイの価値ありですよ。
まず、このブログでのネタバレが気にならないほど選択肢が増えています。今回のリプレイでは、なるべく新しく追加された選択肢を選んでいこうと思います。また、こちらで脚色はしないつもりですが(意訳と誤訳はする)、それはその必要がないくらい描写が充実しているからです。
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なお、今回の主人公は男性にしました。以前のリプレイ
http://gamebook.at.webry.info/200603/article_1.html
と背景を繋げたいと思うので。性別によって選択肢が変わるようなので、その点でも2倍楽しめそうです。渋いいでたちもGood!
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S1-2 1日目:ここは前哨部隊の居留地 [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

日の出だ。君は身支度を済ませ、パンとヤギの乳の朝食を摂ると、ベッドのそばから背負い袋と剣を持ち上げた。
出立する前に、目を閉じて精霊の導きを祈願する。今はヒョウだ-だがひとたび旅が始まればどうなるだろう?

とても穏やかな心境になってきた。
小屋の外では、前哨部隊の居留地が日常の生活で騒がしくなり始めた。
親指で剣の切れ味を確かめる。鍛冶屋はいい仕事をしてくれた。刃先は鋭く、一筋の血の筋がついた。
さあ、出発の時だ。小屋の戸板を持ち上げ、早朝の日差しの中へと踏み出す。

小屋を出てシャムタンティの壁へと歩いていく君を人々が目で追う。この小さな居留地の開拓民は、君の使命をよく心得ているのだ。
彼らに向かっておじぎをする。何人かは笑顔を返してくるが、恐ろしさのあまり近づいてこようとはしない。他の者は身を守るまじないの仕草をしている。壁の向こうに行こうというのだから、君は呪われていると信じているのだろう。

アナランドとカクハバードの荒野とを隔てる最後の扉となるカントパーニの門へと続く道の途中で、一人の男が待っていた。サイトマスター戦士団の軍曹だ。彼は手を差し出している。
「おはよう、軍曹殿。」
君があいさつをすると、彼は2本の指を自分の額に当てた。「ほぼ準備は整ったようだな。」彼が言う。「王からの贈り物がある。金貨24枚-それが今回お前に与えられる全てだ。」
君は金貨の入った財布を丁重に受け取った。
「ここを離れる前に必需品を幾つか買うといい。」彼が続ける。「もし魔法の手助けが欲しいなら、魔法の呪文の書を受け取りに行くのだ。そして剣術の教練を望むのなら、俺がこの最後の一回に付き合おう。」彼は手にした杖で練習場を指し示した。


【変化点】
・金貨:0→24枚(支度金)
・+剣
・+背負い袋

【感想】
今回は女神リーブラではなく、精霊が助けてくれます。また、女神リーブラの加護は各巻で1回だけでしたが、今回はある程度ゲームが進行すると再び加護を頼むことができるようになりました。加護の内容は、体力点の回復(全快ではなく5点のみ)や窮地からの脱出など。精霊の種類は、ヒョウ、クーガー、オオカミ、ジャッカル、ハイエナ、キツネ(Fox)、雌キツネ(Vixen)、ゾウ、レイヨウ、ラクダ、サル(Monkey)、ゴリラ(Gorilla)、類人猿(Ape)、ヒヒ(Baboon)、トガリネズミ、イルカ、カラス、タカ、コブラ、カメ、サソリなどと様々で、何かのきっかけでどんどん変わっていきます。また、選択肢によっては、神やその他の何かに変わることも…。
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S1-3 1日目:魔法の呪文の書を受け取る [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

他から少し後ろに引っ込んだ小屋が魔術師の長のものだ。象形文字と奇妙な記号で飾られ、戸口からはひどい臭いが漂ってくる。
彼は何日もかけて君の魔法の呪文の書を用意してくれていた。ここアナランドではなくシャムタンティの丘とその彼方において、君が使えるであろう呪文を星図から苦心して読み解いているのだ。
君が戸を持ち上げて中に入ると、長は寝不足の落ちくぼんだ目で君を見上げ、君の手に魔法の呪文の書を置いた。「これをどう使うか理解しておるか?」

「教えてください。」
「各々の呪文は三つの星の並びで編み出される。」長の解説が始まる。「例えば、ZAPはザラザシュトラ、アイギス、ピイニを並べることで作られる。だがそれは重要ではない。呪文を何と唱えるか、そしてそれが何をなすかが大事なのじゃ。ZAPを唱えれば、お前は稲妻を操れるようになる。HOTは火の球を、FOFはお前の周りに力場を作り出す。まだ続けるか?」

「どうぞそのまま。」
長がうなずく。「LAWはリリス、アイギス、ウェックスから形作られ、お前は知性の低い生き物の意志を操れるようになる。WALはその並びから分かるように、LAWとは違う星からなる全く別の呪文で、不可視の障壁を作り出す。」彼は革装丁の本を指で軽く叩きながら付け加えた。「あとの残りは本で見るがよい。」

「いいえ、もっと知りたいのです。」
君の言葉に、長は驚いたようだ。「さよう-、DOPは鍵に役立つ呪文、WOKは戦いで身を守る盾、DUMは相手を不器用にするじゃろう。」彼はぼんやりと耳をかいた。「幾つかの呪文はお前に肉体的な労力をしいるじゃろうが、それらは集中力やある種の道具なしでは働かなくなるというわけではない。このことを知るためには、お前は呪文の書を読まねばならんぞ。」


【変化点】
・+魔法の呪文の書

【感想】
今回の主人公はみな魔法が使えるようです(つまり純粋な戦士は選択不可)。しかも、魔法の呪文の書を携行して旅に出られます(あえて携行しない選択も可能ですが)。原作でも、アナランドと同じような魔法を使う魔法使いがカクハバードにいたので、もはや門外不出にする意味がないのかもしれません。
あと、このAndroid版「ソーサリー!」の魔法は、種類や使えるシーンや使い方が修正及び追加されています。例えば、ZAPの消費体力は4点ではなく3点になったり、触媒が必要な魔法は体力を消耗せずに使えたりします。
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対抗呪文の概念や新たな呪文が追加!
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S1-4 1日目:剣術指南を受ける [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

次に、君は軍曹とともに練習場へと向かった。彼は杖に革を巻きつけると、君に向かって言った。「初めに構えの練習だ。まずは俺の攻撃に対して防御しろ。」
サイトマスターは強力な相手だ。だが防御することで、相手がどんな攻撃をしようが最小限のダメージで済ませられる。

<第1ラウンド>
軍曹は強力な一撃を打ち出してきた!君はそれを最小限の衝撃で受け流した。
「今度は俺が防御する。」彼は言った。「お前がどんな攻撃をしようと俺は少しのダメージしか負わないだろう。だが力強い攻撃ほどパワーを多く消耗する。お前は抑えめの攻撃を選択すべきだ。」

<第2ラウンド>
助言に従い、君は防御体勢の彼に駆け寄って軽い一振りを放った。
「良い選択だ。それより強い攻撃ではパワーを無駄使いすることになっただろう。次は俺がもう一度防御する。」

<第3ラウンド>
次の攻撃に備えてパワーをためるため、今度は君も防御した。軍曹も同じく防御体勢をとっている。互いにけん制しながら円を描いて移動する。
「次の俺の攻撃は軽めだ。」彼は宣言した。「お前が強力な攻撃をすれば、俺を圧倒できるだろう。やってみろ。」

<第4ラウンド>
軍曹の慎重な足払いをかわし、君は力いっぱい斬りつけた。
「いい攻撃だ。相手の軽い攻撃を上回るのはたやすい。その時はお前も軽い攻撃を心掛けるのだ。」彼は続けた。「次は俺の渾身の一撃をお見舞いしよう。お前も残りの全パワーで攻撃するなら俺に打ち勝てるかもしれんが、さもなくば防御するんだな。」

<第5ラウンド>
君達は同時に武器を交えたが、軍曹の攻撃は君よりも遥かに力がこもっていた。防御を無視して攻撃を仕掛けていた君は、その分大きな傷を負った。
「相手の攻撃力が勝った場合は、自分が攻撃にパワーを振り分けた分だけダメージが大きくなるぞ。」彼の指導は続く。「次は中程度の強さで攻撃する。お前には打ち破れないだろうから、お前は防御してパワーを回復するといい。」

<第6ラウンド>
君は剣をかざして、軍曹の杖を受け止めた。腕に少し衝撃が走る。
「もう飲み込めたようだな。次は軽めだ。」彼は言った。

<第7ラウンド>
今度は君が競り勝った。
「お前は俺を倒した。上出来だ。」息を切らせながら、彼はお辞儀をして言った。「基本は覚えていたとみえるな。よし、もう一試合やるか?」


【変化点】
・現在/最大体力:20/20→16/20(演習)→20/20(治療)

【感想】
このAndroid版は原作と異なり、技術点や運点が廃止されています。戦闘では攻撃に使うパワーをラウンドごとに調節し(画面をスワイプして操作)、敵とパワーの大小を競います。パワーが大きい方が勝ちですが、パワーを多く使って攻撃するほど次のラウンドで使えるパワーが減ってしまいます。パワーは次のラウンドになると一定量回復します。攻撃に使用するパワーをゼロにすると防御したことになり、最小のダメージは受けるものの、パワーの回復量を多くすることができます。相手の体力をゼロにすれば勝ちです。
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S1-5 1日目:真剣勝負を挑む [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

サイトマスターの軍曹に、今度は真剣勝負を願い出る。
「いいだろう。」軍曹がうなずく。「だが警告しておく、お前にとって俺は容易い相手ではないぞ。」彼は真剣勝負のために設けられた広い中庭を指し示した。

君達は中庭に向かい、真剣勝負の演習を開始した。
杖に巻きつけていた革をほどいてから軍曹が言った。「俺はもう自分の意図を事前に伝えないからな。お前が自分で読み取るんだ。さあ、構えろ。」彼はニヤリと笑うと、杖を掲げて敬礼した後、身構えた。

<第1ラウンド>
君は剣の重みを感じながら、木こりが木を切るように振りかぶった。軍曹はパワーの消費と与える衝撃のバランスをとりながら手堅い攻撃を仕掛けてきた。だが、彼は君の攻撃の威力に対する判断を誤り、後ろに弾き飛ばされた。枠の端に追い詰められた彼のチュニックが赤く染まる。
君は軍曹の腕の筋肉が張りつめているのを見て取った。彼は強力な一撃を繰り出すつもりだ。

<第2ラウンド>
次の瞬間、軍曹の動きがかすんだ。君は圧倒され、手荒い打撃を受けた。君は二つ折りになり、もう少しで吐きそうになる。その衝撃は激しく、君は土の上をごろごろと転がった。コートの枠線の外では、居留地の人々が失望の声をあげながら見物している。

<第3ラウンド>
反撃の時だ。君はパワーを抑えながら、剣を低く素早く突き出した。「疲労困憊にしてやるからな。」君が言うと、軍曹は杖を掲げて防御しながら歯をむき出してうなった。「何ともないぜ。」首を振っているが、明らかに弱ってきている。
彼の目は君の肩を追っている。おそらく防御するつもりなのだろう。今力いっぱい攻撃してもパワーが無駄になってしまう。

<第4ラウンド>
賢明にも君は軍曹の意図を読み、消耗を抑えながらもなお傷を負わせようと攻撃した。防御しようと彼の杖が持ち上がる。
彼がニヤリと笑う。息を重々しく吐き出し、直立しようとあがいている。彼の目が細く狭められた。力を込めているのだ。

<第5ラウンド>
軍曹は君の左に回り込み攻撃してきた!君は剣で受け流しながら、彼の渾身の攻撃が無駄に終わったことに満足した。それでもあばら骨に衝撃が走り、思わず膝をついてしまう。
群衆から不満のつぶやきが聞えてきた。「こんな勇者様を送り出そうとは、王は本当に無力になっちまったんだな。」彼らの言葉が君に拍車をかける。もう一度立ち上がると、サイトマスターに向かって目を細める。

<第6ラウンド>
軍曹の軽い突きが君の剣技をあざける。
「これが実戦だったら、お前の腕は折れていたぞ。」彼は断言した。
彼が杖の握りを緩めた。次は軽い牽制になりそうだ。押し切るチャンスだろうか?

<第7ラウンド>
念のため防御に専念する。君がゴキブリのように頭を屈めると、相手の攻撃は頭上を薙ぎ払っていった。

<第8ラウンド>
突然、軍曹が突進してきた。食い止めようとする君の意図は脇に弾かれ、彼の打撃は-予期できていたとはいえ-君をハンマーのように打ちのめした。

<第9ラウンド>
だが、深刻に負傷していたのは相手も同じだった。君が素早く剣を一閃すると、胸を斬られた軍曹は杖を投げ捨てて降参した。「お前の勝ちだ!」彼は再びニヤリと笑った。

サイトマスターの軍曹はふうと息をつくと、もう一度君にお辞儀をした。
「お前は動きが遅すぎる。」首を振りながら彼は言い切った。「王には別の者を探しておくように伝えるつもりだ。お前はこの先長生きできないだろうからな。」
近くに控えていた治療師が膏薬を手に急いで駆けつけてきた。君と軍曹の傷はたちどころに癒えた。


【変化点】
・現在/最大体力:20/20→9/20(試合)→20/20(治療)

【感想】
まだ戦闘システムになれていないため、予想外に苦戦しました。相手の防御時に全力攻撃をしてパワーを無駄遣いしたり、接戦で押し負けたり…。
武装としては、最初は剣を1本所持しているだけですが、旅が進むとより優れた武器を入手できるチャンスがあります。
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S1-6 1日目:カントパーニの門をくぐる [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

居留地では、小規模の隊商がサイトマスター戦士団に武器、鎧、食料、衣服を供給している。君は軍曹とともに、パン種の入っていない平パンやチーズを商う露店へ向かった。
「1日分の食糧が金貨2枚だよ。」露店の主人が言った。
君の背負い袋の中にはまだまだ空きがある。「4日分もらおうか。」
君が金貨8枚を払うと、主人は背負い袋に注意深く食料を入れてくれた。
「食事は毎日摂るのだ。さもなくば、飢えに苦しむことになるぞ。」君のそばに立つ軍曹が言った。「たくさん食べるほど力がつくが、それは必ずしも必要ではない。」

ついに強固な門の下まで来た。それには封印が施されている。
軍曹は門の板に手を置いた。「門は時々現れる侵入者を防ぐために施錠されている。だが、お前には何の造作もないことだろう。この地の星のおかげで、DOPの呪文が使えるのだからな。」そう言うと、彼は後ろに引いた。
「DOP!」
君は呪文を唱えた。一つ、また一つ、門の錠の金具がきしみ始める。そして帆布の屋根に降り注ぐ雹のような騒音とともに、ちょうつがいがついに開いた。
「この門は最後の勇者が行方不明になって以来、開かれたことはなかった。」軍曹が言った。「お前が彼より幸運であらんことを。おそらく、お前は旅の途中で彼と会うだろう。」
「もし俺が彼に追いついたのなら、彼は遅過ぎるということだ。」
地平線上の何かを見つめながら、彼がうなずく。「彼は戻ってくると俺は信じている。だが、その姿は変わり果てているだろう。お前は彼と同じ運命をたどらぬようにな。」彼は君の肩を叩いた。

壁の陰の中に並んで足を踏み入れる。
「この先の道中は安全とは無縁なのだから、カーレへの旅の安全を祈っても仕方あるまい。」開いた門ごしに遠くを見つめながら軍曹はつぶやいた。
サイトマスターは驚異的な遠見の能力を持つ家系から選ばれる。彼はどのようにして見ることができるのだろう?
「前方に何が待ち受けているのか教えてくれないか。」
「この道はまずカントパーニへと続いている。隊商の居留地だが、ほとんどはごろつきや盗賊だ。太陽が真上に来る前にそこにたどり着くべきだ。そこからはクリスタタンティへ至る道が三本あるが、安全な道は一本もない。カクハバードは悪魔どもの住む恐ろしい土地なのだから。」
「カーレの向こうは?」
「そんなに遠くまでは見通せない。」軍曹は言った。「だが、あの罠の港街をひとたび通り抜ければバクランドだ。そこでは昼と夜が太陽以外の力によって支配されているという。そして、お前は常に見張られることになるだろう。」
出発の時間だ。君は彼に礼を言うと、門を通り抜けた。君の旅立ちを見守る人々の顔には、君の成功と無事を祈る気持ちがあふれている。
早朝の空気は身が引き締まるようにさわやかだ。日の出が山の斜面に穏やかで美しい陰影を生み出し、前方に待ち受ける邪悪を覆い隠していた。


【変化点】
・現在/最大体力:20/20→19/20(魔法)
・金貨:24→16枚(保存食)
・食料:0→4日分(保存食)

【感想】
ここでは、主人公の直前に選出されて旅立った男性の勇者の事が少し触れられています。第3部までプレイした限りでは、彼以外にも、これまでの勇者の一人(こちらは女性!)に出会ったという人物にある場所で会いました。やはり苦難の旅をしているようです。そして実は、このサイトマスターの軍曹とも○○することに!
呪文は以下の画面で3文字選ぶことで唱えられます。それにしても、「DOP」一発で開く門ってどうなん?カーレの北門はあんなに厳重なのに。バードマンに簡単に侵入されたことからも分かるように、アナランドの警備はザルのようです。
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S1-7 1日目:シャムタンティの丘を進む [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

道は荒れ果てた低木地の斜面をぬって曲がりくねっている。こんな辺境には人っ子一人住んでおらず、不気味な静けさを時おり破るのは、ただカラスの鳴き声だけだ。その声を聴く呪文もあるが、君はそれに必要な道具を持っていない。カラス達が飛び過ぎる時に空中で一瞬止まって君を監視しているかのように思え、不安な気持ちになる。まるで君が彼らの領域を侵しているかのようだ。

壁を発ってほぼ一時間後、空気が汚れてきた。シャムタンティの丘にはびこるバクランドの害毒が君の身体からエネルギーを奪い去っていくのを感じる。君は吐き気を催し、衰弱していった。
人々が君に警告したのはこのことだったのだ。ここに長く滞在するほど身体は慣れてくるだろう。だが今この時は十分気をつけなければならない。

カントパーニへの道は長くうねりながら伸びているため、丸一日を費やしてしまうだろう。そこで代わりに、道を外れてひざ丈の草原を抜け、北へ向かうことにする。
その行程は骨の折れる上り斜面で始まったが、数時間後には頂上から黄色い草原の見晴らしのいい景色を眺めることができた。北には粗雑な小屋からなる小さな村が見えるが、人影は見当たらない。左手には長大な壁がぼんやりと見え、その影が君の足元まで伸びている。
壁の上に目をやると、見慣れた人影が片手を挙げているのが見えた。もちろん彼には君が見える。そして、胸壁に立つ彼は君の進み具合も観察できるのだ。
さらに時間が経過した。風が君を前へといざないながら、丈の高い草の間を吹き抜けていく。だがその辺りの地面には、ネズミやもっと凶悪な生き物がいるかもしれない。川やその先の土手へと近道をした方が安全だろうか。

結局、川の土手がある北の方角を大まかに目指しながら頂上へ向かうことにする。土手でもう一度道に出れば、もっと早く進めるはずだ。
頂上を過ぎて丘の中腹を下りながら、君は遠くで何かが動いたのに気づく。川べりで何かが起きている。
その場に立ち止まって目を凝らす。人影は人間だろうか?だが、そよ風になびくシーツのように川べりを飛び跳ねるその動きは、人間にしては速過ぎる。
確信が得られるまで、君はもう少し待った。その生き物は空中に浮かんだり飛んだりしている。釣りでもしているのだろうか。十分無害な連中のように見えたが、念のため川には近づかないことにしよう。


【変化点】
・現在/最大体力:19/20→10/10(バクランドの汚染)

【感想】
カントパーニへ向かう道の途中で、別の道を選べるようになりました。原作では多くの人がカントパーニで色々と買い込むかと思いますが、今回は当然(?)、カントパーニに寄らない新ルートを選択します。攻略上のメリットは皆無ですが(買い物ができないという点ではむしろ不利)、世界背景にかかわるイベントが見られます。「ブラッドソード」のリプレイでもそうでしたが、今回も情報が多く得られるルートを優先していきたいと思います。
あと、大きな変更点として挙げられるのが、いきなりの体力半減!バクランドの危険を具現化しているようですが、もうこの時点で引き返したくなります。血とか吐いてるんじゃない?
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この謎の人影(=エルヴィン)が遊んでいる川は、後でも出てきますが、シムソーサ川という名前がついています。
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S1-8 1日目:草原の大蛇と戦う [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

ざわざわと揺れる草の中を苦労して歩く。最初はブーツまでだった草の丈は、今や剣の鞘まで達し、君の視界を奪っている。それでも君の旅はかなりはかどった。
突然、君はぞっとして立ち止まった。前方の草がかき分けられ動いているのだ。何かがそこにいて、しかも君に近づいてきている。
それが何であれ、そいつはあらかじめ君を見つけているだろう。君は剣を抜いて、ナイフのような切れ目が近づいてくるのを待ち受けた。心臓が胸で脈打つのを感じる。
それがあと三歩くらいにまで近づいてきた。草をかき分ける音がどんどん大きくなってくる…。
ついに君のすぐ目の前の草がかき分けられた時、その正体が判明した。それは大柄な男二人分の胴回りと、内に炎を宿したストーブのような赤い目をした大蛇だった。そいつは草より高く頭を持ち上げると、巨大な牙をむき出した!

<第1ラウンド>
君は大蛇を迎え撃つため、今までと同じように剣を手にして身構えた。大蛇は巨大なとぐろを君の足元に巻きつけると、あっという間に締めつけて君の足首を掴み、稲妻のように飛び掛かって来た。君はそいつの頭をはねようと斬りつける。君の腕に血がしたたり落ち、大蛇は空を咬んだだけで終わった。

<第2ラウンド>
大蛇が腹をさらすタイミングを待ち受けると、君は地面を蹴ってそいつの首目がけて突きを入れた!だが、大蛇は剣先をすり抜け、君の腕に咬みついた。

<第3ラウンド>
後退する大蛇に追いすがり、剣で薙ぎ払う。大蛇は苦しんでいる-頭をもたげるので精いっぱいだ。

<第4ラウンド>
低い姿勢からそいつの頭を狙って斬り上げる!盛大な血しぶきを上げながら、蛇の頭は地面に落ちた。そして、そいつの赤い眼光は暗く消えていった。

大蛇は君の目の前に横たわっている。そいつの身体を調べる方法は一つしかない。剣を大蛇の胴体に突き刺し、長い胃袋を切り裂く。気味の悪い作業だったが、無益ではなかった。中から白骨化した腕の骨が出てきた。それは小さな小銭入れを握りしめている。
君は小銭入れに手を伸ばしたが、すぐに引っ込めた。小銭入れの革袋に浸み込んだ胃酸でやけどをしてしまったのだ!
今度はもっと慎重に、剣先で小銭入れから金貨を取り出した。水を少し使って洗ってから財布の中にしまう。
旅を長らく中断させてしまった。蛇はカラス達のエサに残すとして、長くなってきた草を剣で薙ぎ払いながら前進することにする。


【変化点】
・現在/最大体力:10/20→7/10(戦闘)→6/10(蛇の胃酸)
・金貨:16→19(戦利品)
・精霊:ヒョウ→レイヨウ

【感想】
ここはコソドロ草群生地のエピソードだと思われますが、原作とは異なる場所にあります。しかも、大蛇を穏便にやり過ごす選択肢がなく、女性の肖像画のロケットも見つかりませんでした。原作からの修正は多岐に及んでいるようで、全く予想がつかないため、原作を遊び尽くしていても新鮮な感覚でプレイできます。
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S1-9 1日目:草原を引き返し、地の果ての海岸へ [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

草原を前へ前へと進むほど、草の丈はどんどん高くなる。まるで、草の高さはそのままで地面だけが消え去ったかのようだ。
間もなく、垂れ下がった茎の上にもシャムタンティの壁が見えなくなり、さらに数歩後には前が全く見えなくなった。
君はついに、引き返す決心をした。だが周囲を見回しても、歩いてきた道は既に閉じている。これでは、どこに行くべきか分からない!
そこで最善の策として、丘の斜面を登って戻ることにした。次第に草が低くなり歩きやすくなる。数時間後、ついに君は大蛇の死骸のそばまで戻ってくることができた。

草の中を歩いて時間を無駄に費やしてしまった。次は違う道を行き、遅れを取り戻さなければならない。北に向かったのでは、先ほど不思議な生き物を見かけた川辺にまた行き着くことになる。そこで君は元の道へと戻ることにした。
さらに1時間かけて小山を登り、その頂上から小さな居留地へと続く道を見つける。あれがカントパーニに違いない。
この距離からでは、町の詳細は-ひどく貧しいことを除けば-判別できない。両側の野原は茶色の泥だらけで、囲いの中の動物は乾いたツタのようにやせこけてしなびている。サイトマスター戦士団がわざわざこの場所を守らないのも不思議ではない。ここには守るべきものなど何もないのだ。
軍曹による町の描写のせいか、もしくは単に君の本能がささやく予感なのかもしれないが、とにかく君は町を避けることにした。

およそ1マイルかそこら道を逸れ、雑木林を歩いて通り抜ける。高台のてっぺんからはシムソーサ川の向こう岸がよく見えた。川は危険な対岸からカントパーニを守る形で陸地を切り離している。そこには粗末な小屋が集まった別の村があり、ここからでも地面から突き出た鋭い杭が見える-首狩り族の典型的な光景だ。自分の首が大事なら最も避けるべき場所だろう。
東の方角には青い微かな光が見えた。海だ!海岸線の下には、幽霊が現れると噂されるダドゥーリーの洞窟がある。
カクハバード海の断崖は非常に興味をそそられる。君は今までアナランドを離れたことがなかったため、この伝説の地には強く引きつけられた。
言い伝えでは、最初の魔術師達はこの地の洞窟の岩のひび割れから生まれ、サラマンダーによって引きずり出されたそうだ。また、ここの地下道は月の動きに合わせて動くという。そして、その入り口を風が通り過ぎる時に奏でる歌を君が歌えば、それを聞いた者は誰でも君と恋に落ちると言われている。
もしその断片でも真実ならば、ダドゥーリーで勝ち取るものには一握りの金貨の価値はあるだろう。君は小さな丘を下り、断崖の端に近づいた。数百フィート下では、波が浜に寄せては砕けていく。今まで絶え間なく続いてきた光景だ。


【変化点】
・精霊:レイヨウ→カラス

【感想】
原作にもダドゥーリーという地名は出てきたと思いますが、今回のように冒険の舞台となることはなかったはずで、それだけでも大感激というもの。
ちなみに第1部と第2部は、原作と同様に、特定地点に移動することで昼夜が切り替わりますが、第3部は移動距離に応じて時間経過し、時刻が変化していきます。今回は、早朝にアナランドを発ったものの草原でかなり時間を浪費したため、現在は夕刻と考えるべきでしょう。
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S1-10 1日目:『魔術師の逆落とし』から身を投げる [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

崖の縁に立って果てしない海を眺める。風が吹きつけ、チュニックと髪をなびかせる。ここは東の果てだ。海はこの地で、ジョッキの縁からあふれ出るビールのように世界の端から流れ落ちると言われている。その流れは終わりなき海流のように、人々の物欲しげな心と目を運んでいく。もし人類が空を飛べるのなら、皆東へ飛んでいくことだろう。
付近を探索したものの、この崖の上には洞窟の入り口は見当たらない。だが崖のガレ場のそばに、奇妙な印に覆われた岩が見つかった。しゃがみ込んで印の刻まれた岩から苔を取り払う。そこには謎かけが刻み込まれていた!

 ここは魔法使いが向かった道
 ここは『魔術師の逆落とし』と呼ばれる地
 かの者、言わんとするところを示そうと一歩を踏み出す
 かの者、しかる後に落ち、宙を漂い、よって後悔せず

一陣の風が君を崖下に引き込もうと脅かす。隠されたつり輪、レバー、ロープを求めて目を大地に向けても、断崖の縁があるばかりだ。頭上では、カモメの群れが鳴き声をかわしながら舞っている…。
君は縁から慎重に身を乗り出して眺めやった。足元から幾つかの岩が転がり落ち、4,5秒ほどしてから眼下の草に覆われた崖の上にまき散らされる。滑り落ちないよう、君はすぐに後ずさりした。
辺りが急に静かになった。遥かな眼下で寄せては返す波の音が、世界が寝息を立てているかのように聞こえる。

さあ、冒険に旅立とう。この『魔術師の逆落とし』に。
カラスの精霊へ口早に祈りをつぶやきながら、目を閉じて前へ踏み出す。一歩、二歩、そして君は足を踏み外し…、落下した!
「FOF!」
君は素早く力場の呪文を唱えた。この過酷な落下から十分に身を守れるだろうか?
次の瞬間、君は遥か下の岩に叩きつけられた。ひどく捻じ曲げられたものの、それでもバラバラにはならずにすんだ!

ここで一息つくことにする。パンとチーズで腹ごしらえしながら、今の困った状況について考えを巡らす。ここは上と下のちょうど中間に位置する岩の張り出しで、両手を広げた幅しかなく、片側は波打つ海へ真っ逆さまだ。戻るすべはない。この岩棚をたどるしかないのだ。
とはいえ、ここには注目すべきものが一つあった。岩壁に薄い茶色の塗料で象形文字が書かれている。君はそれを眺めた。古色蒼然とした消えかけのその文字は、『P』を表している。
どこかへ通じる道があるよう望みつつ、岩棚を注意深く進む。
数ヤード先で君の願いは引っ込められた。前方には洞窟が口を開けていた。だが一つではなく二つもあったのだ。


【変化点】
・現在/最大体力:6/10→3/10(魔法)→5/10(食事)
・食料:4→3日分

【感想】
ゲームブックではよく謎かけの詩が出てきますが、格調高く翻訳するのは素人には非常に困難というもの。このリプレイではほぼ諦めていますので、あしからず。
ここで初めて食事をしました。食料は購入場所が限られている上、結構高額です。ご利用は計画的に。
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また、旅を続けると、金貨や食料だけでなく色々なアイテムや情報が手に入ります。それらはこの画面のように各カテゴリーに分類され、後で参照できるようになっています。
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S1-11 1日目:ダドゥーリーの洞窟を探索 [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

恐らく魔法が助けになるだろう。
「SUS!」
呪文を唱えると、深い畏怖の念を抱かせる感覚が君を襲い、声が精神の中に語り掛けてきた。
この場所は一つの目的のためにある。その目的とは、お前に破滅をもたらすことだ、と。
メッセージと微かな笑いともにその声は消え、君は再び独りとなった。潮風の香りが左手の洞窟から漂ってくる。

左手の洞窟の中を覗き込む。僅かな斜面が暗闇の中を下っている。潮風の新鮮な香りが漂ってくる-おそらく海か水浸しの潮だまりへと続いているのだ。洞窟の入り口には低い岩がある。
一方、右の洞窟では、ピューピューと風が音を立てて塵を中に吹き込んでいる。中をのぞくと、遠くでかすかに揺らめく光だけが見える。
左手の洞窟から小さなげっ歯類がちょこちょこ出てきて、草原の方へ走り去った。
君は左手の洞窟の岩を調べた。やはり、それは君の頭の大きさほどのただの小さい岩だ。粗い立方体の形をしており、側面は苔で覆われている。そんなに重くはなさそうなので転がせるだろう。
幾らかのパワーを費やして岩を掴んで投げる。だが、そうすることで何か意味があったとは思えなかった。
もう一度岩を転がす。これにはかなりのパワーを費やした。その時君は、転がした岩の表面から剥がれた苔の余白部分に文字を見つけた。残った苔を拭い取ると、数行の詩があらわとなる。

 この断崖は引き裂かれ、二つの道となった
 理性を無くした我らが魔術師の手引きによって
 一つは安全へ、もう一つは死へ
 正しきものが残された時、残されたものは正しいだろうか?

戻る道はない。君はどちらかを選ばねばならない。
だが選択の前に、カラスの精霊に体力の回復を祈願する。
それは君の祈りを聞き入れてくれた。これでまたしばらくの間は助けを得られないだろう。自分の力だけで乗り切るのだ。

左手の洞窟を選び、暗闇に目を慣らすためにゆっくりと進む。数歩進んだ時、壁に這わせた指先に、岩に刻まれた記号の形を感じ取った。
立ち止まって調べる。それは『O』を意味しているように思われた。
洞窟は崖の中腹に続き、やがて下り坂へと変わった。両側の壁が狭まってくる。腹ばいになり、ダドゥーリーの古代の心臓部へと深く深く進んでいく。再び外に出られる確信もないままに…。


【変化点】
・現在/最大体力:5/10→4/10(魔法)→3/10(岩転がし)→1/10(岩転がし)→6/10(祈り)

【感想】
この詩は、left(残される、左)とright(正しい、右)のそれぞれで意味を置き換えて、「正しきものが左の時、残されたものは右だろうか?」とするのが正しそうです。
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SUS(危険察知)やHOW(脱出経路)は微かでさりげない変化で正解を教えてくれる傾向があります。このシーンの潮風がいい例。
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S1-12 1日目:洞窟探索は続く [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

君は狭い開口部をやっとのことで抜け、もっと広いトンネルの中へと出た。この洞窟の内部は、奇妙な鉱物からなる条痕が通路に沿ってまばゆい蛍光を発している。その輝きはぞっとするような緑色で斜線を形作っており、それなしでは暗闇で道に迷っていただろう。
君は少し立ち止まって、岩壁の割れ目を眺めた。そのパターンはでたらめではなく、君には分からない何らかの言語の文字のように見える。まるで誰かが岩そのものに伝言を書き記したかのようだ。仮にそうだとしても、君には全く理解できない代物だが。

進んでいくと、前方に太陽の光が垣間見えた。
光の方へ向かう。そこが天井の低い空間だと気づかずに、あやうく暗闇の中で転びそうになる。そこは洞窟の狭い出口で、風から遮蔽されているにもかかわらず、差し込む日光によって明るく照らされている。
ふと君は、小さな平たい石があるのに気づいた。その上の岩壁には割れ目が走っている。蛍光を発する条痕の一部のようだが、外光の中ではその輝きは失われている。
その石を持ち上げると、その下には先ほど見かけたのと同じ筆跡の碑文があった。

 ここは魔法使いが調べし場所
 かの者ならざれば見過ごしたであろう場所
 かの者が生み出し闇の中、それは形を現す
 かの者、立ち止まり、光を閉ざす
 そして再び光は戻りくる

君は石を元に戻した。なすべきことは明らかだ。
「FOG!」
君が呪文を唱えると、チュニックの袖から黒い濃霧が立ち上り、辺りをすぐに埋め尽くした。全てが暗くなり、外光も遮られる。
すると、暗がりに一つの形が浮かび上がった。『T』の文字だ。それは壁のひび割れから発せられている。暗闇の中で初めて見えるようになったのだ!
霧が晴れると、壁は再びただの岩肌へと戻った。もしかすると、あれは空想だったのだろうか?

日差しに瞬きしながら狭い出口を抜けると、海岸線へと続く砂浜に出た。
カクハバード海だ。


【変化点】
・現在/最大体力:6/10→5/10(魔法)

【感想】
ここの描写はやや分かりにくくて、洞窟の中は蛍光を発する条痕で照らし出されていると描かれている一方で、洞窟の入り口から日光が差し込んでいるともあり、暗いんだか明るいんだか?な情景です。仕方ないので、洞窟は長く、最初の方が暗くて終わりの方は明るくなっていると解釈しました。
原作ではあまり有効な出番のなかった「FOG」の呪文ですが、今回は早速効果を発揮!多彩な呪文が魅力的な本シリーズ、原作では呪文の登場数や有効なシーンはかなり偏っていた気がしますが、Android版ではその辺りが再考されています。最初から有効な選択肢が多く、意外な呪文が意外な方法で役立つことも。すでに原作をプレイした熟練ユーザーを対象にしているからかもしれませんね。
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魔法の呪文の書の「FOG」の項が良いセンス!
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S1-13 1日目:カクハバード海の海岸で女性と出会う [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

砂浜の上に歩み出した君は、自分が一人ではないと気づく。浅瀬に引き揚げられた一艘の小さな帆船のそばに、一人の女性が奇妙な織機を持って低い腰掛けに座っていたのだ。彼女は織りのしっかりした明るい色の長い帯を織っている。
彼女の機織りを見た君は、素早いながらも念入りなその仕事ぶりに、話しかけるのを躊躇してしまう。それぞれの色の糸が、いったん広がってから再び合わさり、絡まり合っていく。縫い糸が模様から消えたかと思うと、そのすぐ後にまた現れた。彼女が織っているものは、幅はベルトよりも広くはないが、極端に長いもののようだ。
唐突に、彼女は手を止めて君を見上げた。「こんにちは。ここに人が来るのはずいぶん久しぶりよ。」
「ごきげんよう。」お辞儀をしながら、君も挨拶を返す。「君は何者だい?」
「私にはたくさんの名前と顔があるわ。」彼女は微笑んだ。「でも、あなたには一つしかない。あなたこそ何者かしら?」
彼女は辛抱強く君を眺めている。君は答えた。「俺はアナランドから来た勇者だ。」
「いいえ、まだまだよ。」彼女は簡潔に言った。「勇者とはなすべきことを何一つ残していない人のことを言うの。あなたにはまだこの先たくさんあるわ。」まるで縫い糸の中に未来が読めるかのように、彼女はうつむいて織物を眺めた。
「君はここで何をしているんだ?」
「機を織っているのよ。」彼女は言った。「そして、待っているの。」
「何を?」
「質問する機会を。さあ、準備はいいかしら?」彼女が尋ねる。
「ああ、質問するがいい。」
「簡単な問いよ、あなたについてのね。」彼女は織っていた帯の終わりに出ていた二本の糸を指先でつまみ上げた。それらは彼女が作業を終えたちょうどに出てきたものだ。「何ら利益とならないにもかかわらず、他人のために自分自身を危険にさらすことになった時、あなたはどちらを選ぶ?危険な方法?それとも臆病な方法?」

「では答えよう。」君の言葉を待ち受けている彼女へ君は言った。「危険な方法を選ぶ。俺は生きたい。生きてスリルの全てを楽しみたい。」
「素晴らしいわ!」彼女は拍手をした。「あなたは自分が必要なものを全部持っているわ。さあ、ここを去り、いるべき場所へ戻りなさい。ダドゥーリーは人が生きていける土地ではないの。」
彼女は織り機を片手で手繰り寄せると、後ろの小舟の中へ乗り込んだ。
「その舟で俺をカーレまで連れていってくれないか?」
彼女は眉を寄せ、それから笑い出した。「私はカーレには行かないわ。それに、私が向かう先では、カーレは瓦礫と廃墟の山よ。」そう言うと、彼女は頭に手をやって金色の髪を一本引き抜いた。「帰還の呪文にはこれが必要になるでしょう。」
無音の言葉を発すると、帆が膨らみ、彼女の小舟は波間へと進んでいった。彼女の歌声も風にかき消されていく。


【感想】
彼女は不思議な人物です。「ブラッドソード」の海賊王ハンガックみたいに、次元をまたいで航海しているようですが。もっとも、あちらは巨大な軍船、こちらは小さな帆掛け船。
時空を超えるといえば、Android版ではいつでも時間を巻き戻して選択肢をやり直せる機能がついています。ただし本当に巻き戻してしまうので、元の箇所に戻るためには、もう一度その選択肢を選んで進める必要があります。つまりセーブ機能はないということ。
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S1-14 1日目:水没する浜から生還、予言を授かる [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

今や君は置いてけぼりとなった。
先ほどの女性からもらった髪の毛は、君の腕と同じくらいの長さだ。ほとんど透明にすら見えるその細い金髪を風に奪い去られそうになる。
波は海岸で穏やかな音を立てているが、君とて愚かではない。だんだん潮が満ちてきている。
この場所から君を救ってくれる呪文があるはずだ。
精神を集中させる。この地の星がとても奇妙な配列をなしていることを君はすでに感じ取っていた…。
「TOP!」
君は呪文を唱えたが、それが何をする呪文なのか、いや呪文であるのかすら確信が持てずにいた。だがその時、あの金色の髪の毛が光り輝き始めた。後ずさって見守るうちに、それは君の腕と同じくらいの太さになり、高く成長していく。一方は砂にめり込み、もう一方が空へとそびえ立った。
その巨大なつるを素早く掴むと、君は猛烈な速さで上へと運ばれていった。鼓動が数回打つ間に、最初の崖の頂上付近まで到達する。君は手を離して飛び降り、再び崖の上の地面に立った。
黄金のつるが縮んで、君の視界から消えていく。つるは消えながら、風にかき鳴らされて歌を奏で始めた。

 深く虚ろな鉱山の中、徘徊するは一匹の恐るべき獣
 早晩、そやつの退治がお前の務めとなるだろう
 速やかに西へ向かう坑道へ交わらねばならぬ
 懐へ忍び寄り、火で燃やし尽くせ
 この韻文忘れるなかれ

君はかろうじて歌詞を聞き取ることができた。これが意味するところは、おそらくいずれ分かるだろう。だが、今は出発の時だ。旅が待っている。


【隠し呪文】
・TOP

【感想】
原作にはなかったこのエピソード、霊験あらたかなダドゥーリーでの試練を乗り越え、その見返りとして予言を授けられたということでしょう。最初に主人公が思い出したこの地にまつわる噂話(幽霊や魔法の歌など)も断片的には正しかったと言えそうです。ちなみに、前回出てきた女性の質問への回答によって、この予言の詩の内容が変わってきます。
まあこんな調子で、なるべく新しい選択肢を選んで進めていきたいと思います。もっとも、第2部や3部にもなると凄まじいまでの修正・追加が施されており、否応なしに新たな攻略ルートを開拓する必要に迫られます。特に第3部はとんでもないことになっていて、主人公の旅が”本当に”時空を超えてしまうのです(ブラッドソードの第五巻みたいな感じ?)。ストーリー的にはあれはやり過ぎなんじゃ…とも思いましたが、ゲームの面白さがアップしているのは確かなので、評価に少し迷うところです。
また、原作では主人公が駆け出しの魔法使いであることを表現する手段の一つとして、最初の方はでたらめな呪文が選択肢に登場しましたが、Android版では今回の「TOP」のように魔法の呪文の書に記載のない呪文もどんどん出てきます。そのような特殊な呪文は、旅を有利に進める効果をもたらしてくれることが多いのですが、本当にでたらめな呪文との区別がつかないため難易度は高いです。
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S1-15 1日目:追いはぎどもを出し抜く [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

低い丘を下る。その時、君は前方に人の声と火のはぜる音を聞いた。
低い草むらの中に身を低くして聞き耳を立てる。粗野でぶっきらぼうな男二人の声だ。
「俺は今日か明日だと聞いたぞ。」一人が言った。「連中はそいつに金貨50枚も渡したそうだ。」
「船を買うには十分な金だ。」もう一人が答える。「こっちは二人、向こうは一人。楽な仕事さ。」
「これで食うにも困らなくなるぜ。」片方が言うと、二人とも笑い出した。
動く気配がした。男どもが立ち上がったのだ。こっちに来ようとしている!
君は身を低くしてその場にとどまった。緊張が走る。追いはぎが君の手の届く距離を歩いていく。だが奴らは自分達の冗談で笑うのに忙しく、君には気づかなかった。まもなく奴らは通り過ぎ、カントパーニから出る道を下っていった。
この機会を生かさない手はない。君は立ち上がって埃を払うと、岩を回り込んで、追いはぎ達の野営地へ入り込んだ。焚き火は足で踏み消されているが、温かい煮豆が少し入った鍋が残されている。
君は貪欲にそれをむさぼった。どろっとして腐ったような味がしたが、少なくとも腹は満たされた。
それから、追いはぎ達が立っている場所よりも少し向こう側に出るよう先を急いだ。

30分もすると、無事に元の道へ出ることができた。カントパーニから先が荒野の本当の始まりだ。この小さな野営地の向こうには、農場やカーレ-繁栄しているものの、全ては無慈悲、孤立、恐怖と隣り合わせの港町-だけが散在する。バクランドとマンパン砦が全てに暗い影を落としているのだ。
冠が盗まれて以来、物事は悪くなる一方だ。改革王シャランナが同盟を設立してから何年もの間、冠は王国から王国へと4年ごとに持ち回りで移されてきた。ラドルストーン、レンドルランド、ギャランタリア、ブライスの諸国は繁栄を確かなものとし、そのパワーの恩恵に浴した。
だが、冠がアナランドにやって来た時、それはザメンのバードマンによって盗まれ、マンパンへと持ち去られてしまった。冠を手にしてしまえば、マンパンの大魔法使いは誰にも止められないパワーを持つだろう。
軍隊を派遣しても奪還に成功する見込みはない。過酷な道中を生きのびられないからだ。だからこそ、君がここにいる。一匹狼の勇者である君が、たった一人でマンパンへの長い道のりを行くのだ。

やがて、道の分岐点に出くわした。遠見の能力があるにもかかわらず、なぜ軍曹はこれについて言及してくれなかったのだろう?


【変化点】
・現在/最大体力:5/10→7/10(食事)

【感想】
カントパーニ名物の追いはぎ二人組。原作では買い物後に必ず追いはぎにあってしまうのですが、今回はこういう裏をかく選択肢も用意されていました。原作でやりたいのにやれなかったことが色々できるようになっている辺り、実に小ネタが効いている感じです。
また、原作では1日の最初の食事のみ体力回復が2点で、2回目以降は1点だけでしたが、Android版では全て2点となっています。←アプリ版でも2回目以降は1点でした(初期の頃のバグだったのかも)。これでゲームの難易度が低くなるかというとそうでもなく、戦闘での1ラウンドのダメージが平気で-3点とか-4点になるので、うまくバランス調整されていると思います。
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S1-16 1日目:樹上の老人を救助 [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

道は大樹の根元辺りから分岐し、そのまま分かれている。左の道は谷へと下り、右の道は丘のこんもりした林の方へと向かう坂道となっている。
左の道の先には川と土手がある。ほとんど来た道を戻ることになってしまうルートだ。
右の上り坂は見通しが悪く、道幅も狭い。だが行軍は厳しくなるが、そのうち上りが多くなるだろうから、尾根の頂上から次の区間を見下ろすことができるかもしれない。
どちらへ行ったものかと思案していると、どこかすぐそばから弱々しいすすり泣きが聞こえてきた。辺りを見回し、ついに木の枝に何かを見つける。それはしわくちゃでまめだらけの脚だった。今にも君の上に飛び降りようとするかのようにブラブラしている。
「そこにいるのは誰だ?」
「上じゃ!助けてくれ!」今度はもう少しはっきしした叫び声がした。「降りられんのだ!」
痩せ細ったか弱い老人の声だ。少し後ずさりして見上げた君は、汚れたぼろきれを身に着け、棒のような姿を目にした。
彼はどうやってあそこまで登ったのだろうか?何かを恐れてあんなに高くまで登ったに違いない。
「何から身を隠しているんだ?」君は声を掛けた。
「くそったれのエルヴィンどもよ。」老人が答える。「わしはダンパスからアナランドの前哨居留地まで旅をしておった。だが、奴らに待ち伏せされ、視力以外の全てを奪われてしもうた!しかも、わしを木の上に置き去りにしてな。わしは普通よりも早く老い続けていて、もはや降りることができぬ。登ってきて助けてくれぬか?」

一番低い枝に身体を引き上げると、君は手を伸ばして老人の胴を掴んだ。彼は葉っぱのように軽く、すぐに地面まで下ろしてやれた。
「ありがとうよ。」ほとんど自分を殴りつけるかのように身体をはたきながら彼は言った。「ちょうど不安になりかけていたところでな。でも今はもう安心じゃ。」
ちょっとつまずいただけで粉々になりそうな外見とは裏腹に、彼は自信に満ちて見えた。
「これからどうするつもりだ、じいさん?」
「アナランドを目指すよ。」彼は言った。「わしはあそこを出発したんじゃ。お前さんはわしの話を信じぬだろうがな。だが、わしの目に狂いがなけりゃ、お前さんはマンパンを目指すつもりじゃろう。それならわしよりも利口でないといかんぞ。そうだ、これをやろう。」
老人は君の手に1枚の紙きれを押しつけた。これは魔法の呪文の書から破り取られたページだ!「おぬしなら使い道があるやも知れぬ。わしはこれを見つけた。いいか、ただ見つけただけじゃ。どうやってかは聞いてくれるな。もはやわしの役には立たぬ。」
彼に礼を言いつつも、君は疑わしげにその紙きれを見やった。そこには呪文が半分まで書いてある。「CA…」とまで読める。何か害虫を追い払うために用いるようだが、この状態では使えない。
老人はうつむいて地面にうずくまった。早口で意味のよく分からない言葉をつぶやいている。だが、他にも低い音が木の上の方から聞こえてくる。ミツバチの群れだ!


【変化点】
・+魔法の呪文の書の一部

【感想】
さて、原作にも登場するこの樹上の老人、Android版ではなんと彼を殺害する選択肢まであります。樹上に石を投げつける→石が当たって抗議する老人→今度はもっと狙いをつけて再び投石→石は老人の胸に直撃→彼は地面へ叩きつけられる、という流れに。そして、血を吐いて倒れている老人から呪文書の一ページと思われる紙をむしり取る主人公…。って、それ勇者やない、悪者や!どう考えてもやり過ぎのこの選択ですが、そのままプレイを続行していないため、先々で何らかのペナルティがあるのかは未確認です。
それよりも驚きなのが、この老人、どうやら主人公の直前に出発した勇者のなれの果てのようです。明確な記述はありませんが、彼の発言から判断するとそう推測できるのです。サイトマスターの軍曹の言葉は、このことを指していたのですね。
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害虫駆除の呪文の一部。CAの次に来る文字は何?
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S1-17 1日目:蜜蜂の巣を駆除 [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

感謝の言葉をつぶやき続ける老人を地上に残し、高い木の枝の間を登る。蜂の巣はまるで熟したフルーツのように最も高い枝にぶら下がり、その周りでは蜂の大群がブンブン音を立てて飛び回っている。
「BIG!」
十分なバランスを確保すると、君は呪文を唱えた。あっという間に身長が3倍に伸びる。
蜂は怒り狂って君を取り囲んだが、蜂が刺しても君にはほとんど何も感じられなかった。君は手を伸ばすと、リンゴのように巣をもぎり取った。
地上に降りて巣を割ると、たっぷり蜂蜜を含んだ蜂の巣とひと塊の蜜蝋を取り出せた。蜂の巣は1食分になる。そして、蜜蝋はボールのように丸めて持っていくことにする。
「なんとまあ。」老人がつぶやいた。「エルヴィンに追われた時にお前さんがいてくれたなら、奴らに見せつけてやれたものを。」
呪文の効き目が切れると、君は元の大きさに戻った。日が沈みかけている。もう行かなくては。
「おお!」唐突に彼が叫んだ。「謎かけを聴きたくはないか?わしはエルヴィンから聴いたんじゃが。」
君が身振りで示すと、彼はこんな詩をうたってくれた。

 そいつはそこに見えれど、彼にはお前が見えはせぬ
 棘もつ獣は箱の中なれど、左にはそいつがおりはせぬ
 鍵の守護がそいつのさだめ
 幸運奪われし魔女を捕らうため

聴き終えた後、彼におじぎをして礼を言う。それから前方の道へと注意を向ける。
高台を行くルートの方が君には安全に思えた。谷では上からの観察は容易だが、道に迷うのもまた容易だ。だが丘であればどちらでも好きな方へ行くことができる。もちろん、夜になれば坂の上で冷気にさらされることになるが、そのくらいは問題ではない。なぜなら、この旅は決してたやすい運命にはないからだ。
君が坂を上り始めると、老人のぶつぶつ言う声はすぐに遠ざかった。
道はくねくねしながら丘を上り、森の中へと入っていった。午後の木もれ日がきらきらと君の目を欺く。君を見つめる奇形の動物か何かを何度も目に捉えるものの、そのどれもが妙な角度で枝や葉を見ただけのことだった。
1時間ほど歩くとやや空腹を感じ始めた。だが食料は節約した方が賢明かもしれない。

ペースを保ちながら、曲がりくねった道に沿って丘の斜面を上り続ける。やがて地平線で太陽が瞬き、そして沈んだ。空気がひんやりしてきて、見通しもきかなくなる。
だが、すぐに満月が昇り、行く手を照らしてくれるようになった。それは同時に、君の姿が丸見えになるにもまた十分な明るさだ。


【変化点】
・現在/最大体力:7/10→5/10(魔法)
・+蜜蝋(2回分)
・食料:3→4日分(蜂の巣)

【感想】
ここでは食料として蜂の巣を入手しましたが、この先通常の保存食以外にも、魚や肉(火を通して調理する必要あり)、フルーツなども登場します。
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S1-18 1日目:野宿で巨大コウモリに襲われる [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

初日から疲労困憊しては幸先が悪い。君は夜営するために、互いに絡み合った3本の巨木の根元からなる天然の隠れ家に腰を下ろした。背負い袋は枕になるし、マントを毛布にすればいいだろう。
眠りにつく前に荷物の中身を確認する。食料はまだ4日分もある。そこで君は、甘い蜂の巣をここで食べることにした。

食べ終えた後、眠りにつく。君が次に目を開けた時、満月は空高く昇っていた。何だか、大きな毛布にくるまれているかのように暖かく感じる。だがその時、足に痛みが走る。
ゆっくりと君は事態を把握した。巨大コウモリが君の胸の上にとまり、足から血を吸っているではないか。
斬りつける前にそいつに気づかれぬよう、ゆっくりと慎重に君は剣を抜いた。だが、あいにく、そいつは危険を察知して飛びすさった。

<第1ラウンド>
コウモリの翼が君の顔を打ち、一瞬前が見えなくなる。君は翼を切り落とそうと剣を振るったが、そいつは剣の届かない距離まで逃げてしまった。
奴は君をうろたえさせようと威嚇するように羽ばたいている。

<第2ラウンド>
次のチャンスがやって来た。木の背後から飛び出し、剣を突き出す。コウモリはかわそうとしたが遅すぎた。今や、奴はふらふらの状態だ。
それでも滑らかな皮翼をはためかせ、なおも威嚇してくる。

<第3ラウンド>
剣で空を切り裂く。剣先はあやまたずコウモリを捉えた。地面に落ちたそいつの眼から光が失われていく。

巨大コウモリは死んだ。君はその亡骸を木々の茂みの中に放り込むと、再び眠りについた。

もう一度、君の夢に冠が現れる。だがそれは大魔法使いによってマンパン砦に隠されておらず、木の上のしなびた老人の頭にあった。
「冠は誰にでも被れる。だが、ひとたび冠を被ってしまえば、お前はもはや何者でもなくなる。」そう言うと、彼はエネルギーでパチパチと音を立てる指を君に突きつけた。すると君は、彼の命令に服従しようと彼に引き寄せられていった。
そして次の瞬間には、君は怒りたけるハチの群れに取り囲まれていた。そのまま地面に開いた穴へと近づく。君がすっぽり入れる大きさだ。穴の縁でよろめいた君は、中へと落ちていった…。


【変化点】
・現在/最大体力:5/10→7/10(食事)
・食料:4→3日分
・精霊:カラス→レイヨウ

【感想】
田舎の夜道の独り歩きは単純に怖いです。視覚に頼れないものだから聴覚に意識が集中するのですが、それで不可思議な音に過敏になってしまい怖さが増幅するという…。ソーサリーの世界であれば、モンスターがいるのでなおさらです。
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S1-19 2日目:首狩り族の村を避け、シャンカー鉱山に潜入 [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

夢から目を覚ます。君の旅の2日目が、朝の冷気の中で始まった。まだ夢うつつの中、レイヨウの精霊の存在を身近に感じる。アナランドを発って以来、君が変わったように、精霊の姿もまた変わっていた。だが、まだ君のそばにいてくれている。
神殿では、精霊に祈った者は病気が治癒し、呪いが払われ、確実な死からでさえも救われると教わった。だが、精霊は決して気前がいいわけではなく、手助けを拒否することもしばしばある。
この辺りの丘の悪臭のする空気に慣れてきたような気がする。昨日は数百フィートは登った。地面の穴に落ちでもしない限り、今日も旅がはかどるはずだ。
丘の頂上に達した時、あるものを目にして君は凍りついた。左手に、数本の杭が地面にしっかりと打ち込まれた開けた場所がある。そして、杭の先に刺さっているのは生首だ…。
生首の種族や時期は様々だ。幾つかはすえられてまだ間もないが、なかば腐りかけのものや完全に骨と髪だけになったのものもある。人間やゴブリンに加え、一体何の首か分からないものも1つ2つ並んでいる。そのどれもが目と口を縫い合わせてある。
近くの岩には大きな×印が描かれている。明らかに、これ以上進んではならぬという警告だ。だが、道は前方で左右に分岐しており、どちらに対しての警告なのか君には確信が持てなかった。右手は上り続ける道で、左手は丘の斜面を曲がりながら下る道だ。

君はダドゥーリーの手前の丘から見た遠景を思い出した。首狩り族の集落は、左手の道の先の川向こうにあったはずだ。君は右の道に沿って、このまま上り続けることにした。
数時間後、次の丘の頂上までほど遠からぬところへ来た時、君の耳にごった返す喧噪の音と声がかすかに聞こえてきた。斜面に生える古木の列に隠れて、前方に何かあるようだ。
道を外れて注意深く木立ちを通り抜け、少し行ったところで木の陰に隠れて空き地をそっとうかがう。すると、洞窟の入り口で大勢のゴブリンが働いているのが見えた。そいつらは腕に大きな入れ物を抱えて重い足取りで洞窟を出入りしては、キラキラ輝く岩や鈍く光る金塊を積み上げている。
君は隠れたまま、奴らの活動の規模を推し量った。洞窟の中には少なくとも30匹はいるだろう。数分おきに出てきては、新たな石の山を積み上げている。広場にはハンマーを手に働く別のゴブリン達もいる。岩を細かく砕いて、中の金属を取り出している。それらは手押し車に積み込まれ、最終的には木々の間にある広い道を下って運ばれていく。
実際のところ相当な規模の軍事行動といえるが、つけ入る隙がないわけではない。ゴブリンの数が多過ぎて注意をそらすことはできそうにないが、奴らはかなり頻繁に森の中へ入っていくため、時々洞窟の入り口ががら空きになるのだ。

丘の中腹をぐるっと回り、洞窟へ向かって這って進む。辺りが静まったタイミングを逃さず、空き地を横切って洞窟の入り口へと駆け出す。
中に飛び込んでから周囲をうかがう。よし、誰にも感づかれていない。


【変化点】
・現在/最大体力:7/10→9/12(睡眠)
・精霊:レイヨウ→カラス

【感想】
このように、精霊は選択肢によって変わる場合があり、狡猾→キツネ・雌キツネ、残忍→ジャッカル・サソリ、道徳的→ゴリラとなる傾向があります。ただ、精霊ごとに祈りの効果が違ってくるのかは今のところよく分かりません…。
screenshotshare_20151129_153416.jpg
↑左:狡猾なキツネの精霊、右:バグのせいで体力ゼロでも死なずにゲームが継続したシーン
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S1-20 2日目:鉱夫のオーガと戦う [ソーサリー1:シャムタンティの丘]

ひんやりした坑道を用心しながら進む。百匹のゴブリンが働きながら歌っている、騒々しい鉱山の中心部へ降りていく梯子は無視して通り過ぎる。
やがて、分岐に出くわした。右の通路を行くと、それは丘の中腹の奥深くへらせん状に進み、木の扉の前に出た。扉には鍵が掛かっている。
「DOP!」
扉が小刻みに震え出し、鍵が外れる。用心しながら見守るうちに、ひとりでに取っ手が回って扉が開いた。
部屋はかなり広く、何かの倉庫であることは明らかだ。部屋の一隅には鈍い光を放つ黒い岩石が山と積まれ、すぐそばに置かれたバケツの中にも岩石が入れてある。
だが、それよりも畏怖の念を起こさせるものが部屋の真ん中には置かれていた。機械仕掛けの装置だ-おそらく圧縮機か石切り機だろう。そして、それを操作しているのは力強い巨躯のオーガだ。
そいつは今はまだ君に気づいていない。そう確信した君は、陰に潜んでオーガの仕事ぶりを観察した。奴は黒い山積みから岩を機械装置の口へ落とし込み、重いハンドルを回しては岩を砕いている。何かが装置の反対側から出てきているが、それを確かめるためにはもっと近づかなくてはならない。
勇気を駆り立て、戸口の陰から部屋を灯すロウソクの光の中へ踏み出す。オーガはすぐに作業を止めて君に向き直ると、不可解なほど怒鳴り散らしてきた。ナメクジのような相手に説得は不可能だ。
「dIm!」
君は呪文を唱え、効き目が現れるのを待った。君目がけて突進してきたオーガは突然動きを止めると、戸惑いの表情を浮かべて首を振った。それからやおら一歩進み出ると、次は一歩後ろへ下がった。何が何だか分からないといった様子だ。
それでもほんの少し優勢になったに過ぎない。よろめいて足を引きずってはいるが、オーガはなお巨大かつ脅威だ。

<第1ラウンド>
オーガは足を踏み鳴らしながら迫ってくると、ハンマーをほとんど投げるようにして振り上げた。その機を捉え、奴の喉元へ深々と突きを入れる。重い打撃を与えようとする奴の知力を欠いた獣性につけ込んだのだ!

<第2ラウンド>
奴は身体を守るかのようにハンマーを横に構えている。そのまま落としてきそうなくらいだ。君は素早く移動すると、奴の心臓を狙って再び突きを入れた。奴のハンマーが君の攻撃を防ぐ。
だが、オーガは突然よろめくと、機械装置の上に倒れ込んだ。装置はほとんど崩壊してしまった。

<第3ラウンド>
オーガが君の頭を狙ってハンマーを振り回す。今度は奴の目を狙うと、そいつは怒りと恐怖で叫んだ。愚鈍な怪物には自分に何が起こっているかも理解できていない。その落ちくぼんだのろまな目では、君の動きを追うことなどできるはずもないのだ。

<第4ラウンド>
通り過ぎざまにオーガに斬りつけ、返す一撃で脇腹に剣を突き刺す。奴は惨めに喉を鳴らすと、ドシンと床に倒れた。君は安堵のため息をつく-俺はまだ生きている!

瀕死のオーガがうめき声をあげる中、部屋を調べにかかる。
巨大な装置に近づき、ハンドルを回そうと試みるが、それを動かすには筋力が全く足りず、何も起こらない。だが装置から出た配管を追っていくと、一粒の大きな宝石を見つけた。君の指の大きさほどもあるエメラルドだ。金貨10枚くらいで取り引きできるだろう。君はそれを注意深く背負い袋に収めた。
次に、テーブルの上の岩の塊を調べる。だがどれもごく普通の石で、君の目に留まる物はなかった。
部屋の隅に移動しながら、注意深く目を走らせる。数分後、すすだらけの硬い何かを見つけた。チュニックで拭うと、それは二つ目の大きな宝石だった。
さあ、部屋はすっかり調べ終えた。誰かが来る前に部屋を去る頃合いだ。


【変化点】
・現在/最大体力:9/12→8/12(魔法)→7/12(魔法)
・+宝石(2個)

【感想】
このシャンカー鉱山、金属も宝石も取れるようです。
S1_ogre.jpg
↑左:オーガのフルパワー!、右:dImで弱体化後
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