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S2-6 7日目:宿の主人とスウィンドルストーンで勝負 [ソーサリー2:罠の港街カーレ]

宿に入ると、空っぽの酒場があった。主人がカウンターで居眠りしている。明らかに、景気が悪いのだ。
君が近づくと、宿の主人はいびきを止めて目を覚ました。「ああ、旅の人。」あくびをしながら言う。「道を探しているようだね。」
「全くその通りだ。」
ひどい臭いと壁を這う虫を目にして、誰もここにいない理由がよく分かった。
「それで、」彼が尋ねる。「俺で何か役に立てるかい?」
「街の北門に行く必要があるんだ。」
「それはいたって簡単さ。」主人が答える。「ただショベルで掘るだけでいい。そいつは地下にある。」
「意味が分からないな。」
彼は少し間をおいてから大笑いした。「だが、あんたの表情を見る価値はあったってもんだ。」
君も笑ったが、急に野原がましに思えてきた。「ところで、食事をしたいんだが。」
「悪いが、ここに食い物はない。」主人が言う。「ネズミが全部食っちまったからな。だが、ベッドなら一晩につき金貨7枚だ。」
「金貨7枚は法外だろう。」
主人が肩をすくめる。「カーレの物価はあんたの慣れ親しんだものとは違うんだ。でもそうしたいんなら、通りで眠ることもできるさ。そうすりゃ、なぜ値段がこんなに高いか、あんたにも分かるだろ。」
「それでも高過ぎる。」そう返すと、君はその場を立ち去ろうと背を向けた。
「ちょっと待ちな。」主人が言う。彼はカウンターの下に手を伸ばすと、一握りの4面サイコロを取り出した。「スウィンドルストーンをやるかい?ゲームでかたをつけようじゃないか。」
「ルールを知らない。」
彼が笑う。「なんてことはない。二人ともサイコロを振ってから、交互にテーブルの上の数字を明かすのさ。もし相手が嘘をついていると思うなら、あんたはコールすればいい。相手が嘘をついていたなら、そいつはサイコロを1個失うし、本当だったならあんたが失うんだ。な、簡単だろ?」
「よし、やってやろう。」君は酒場の席に座った。
「そうこないとな。」主人が両手をこする。明らかに、君から金を巻き上げられると思っているのだ。「さあ、何を賭ける?」
「金貨4枚だ。」君はカウンターに金貨を置いて告げた。
「分かった。」彼が肩をすくめる。「あんたがそうしたいなら、慎重にやればいい。」

主人がサイコロを5個ずつお互いに配る。彼が先攻することにした。
君もサイコロを振る。彼は自分の手の下をのぞき見て、舌なめずりしている。
「ゲームは単純だ。」彼が説明する。「サイコロを振ってから、どの目が出るか賭ける。俺が先攻の場合、二人が振った目の間で賭けるんだ。そうだな、例えば…、1の目が1つ。」
「でも、俺にはあんたの持っているサイコロの目が全然分からないぞ。1の目が2つ。」
「さっきの俺の宣言が聞えなかったのか?少なくとも、あれが手掛かりになるのさ。」彼が意地悪く笑う。「もちろん、俺があんたを騙そうとしていないならの話だけどな。4の目が2つ。」
「騙すつもりなのか?4の目が3つ。」
「もし俺の宣言した数が高過ぎると思うなら、コールしてゲームを止めるんだ。そうじゃなければ、互いにどんどん高い目を宣言していく…、4の目が4つ。」
「となると、俺はまた高い目を宣言しなければならない。つまり、さらにあり得そうもない目になっていくというわけか!4の目が5つ。」
「最後には、どちらかがあまりにも高過ぎる目を宣言するはめになるのさ。」彼がニヤリと笑う。「だが、どっちがそうなるんだろうな?4の目が6つ。」
「それはあんただよ。コール!」君が告げる。
手のひらをどけて、互いのサイコロの目を披露する。4の目のサイコロは4個しかない!宿の主人はため息をつくと、自分のサイコロを1つ、テーブルの向こうの方に置いた。
再びサイコロを振り直す。今度は君が最初に宣言する番だ。


【感想】
ここで初めて「スウィンドルストーン」が登場!これ以降、頻繁に出てきては、金貨や情報を得る手段となります。このリプレイでは、冗長になるのを避けるため、会話を1手ごとではなく省略して描写していきます。
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伝説の勇者

スィンドルストーン…浅羽氏風に訳すなら「ペテンの石」といったところでしょうか。
ルール的には全然違うのに、サイコロの目を隠して見せ合う点や、失ったサイコロを奪わない点で、金のスパイラルを連想します。
6面ではなく4面サイコロなのは、冗長になる事を避けるために、選択肢を減らしてゲームを単純化するためでしょうか。
by 伝説の勇者 (2016-04-23 15:49) 

teamtomtom

どこまでをカタカナで、どこからを漢字で、という訳し分けにまだまだ迷いがあり、あちこちちぐはぐになっています。このスウィンドルストーンは確かに”浅羽氏風に”もう1歩踏み込んで訳した方が良かったような気がしますし、その一方で「クリスタルの滝」は「水晶の滝」が妥当だと思いつつ、後に出てくる「Fireview Square」は「炎景広場」が妥当なのかまだ確信が持てず…。旧訳に慣れ親しんだ者としては、何でもかんでも漢字を当てはめるのはちょっと違和感があるのですが、かといって明確な基準が自分の中にあるわけではないので、なかなか難しいですね。
その点、ブラッドソードシリーズは明確な固有名詞が多く(カペラーズ騎士団とかパラティーヌ地域とか)、やりやすかったです。
by teamtomtom (2016-07-09 08:20) 

伝説の勇者

個人的には、殆どファンタジー世界ならではの用語や生物名(ドラゴン、スケルトン等)はそのままカタカナで、実在する生物や一般の言葉だけで構成された名前(ジャイアント・オクトパス、レッド・アイ等)はできるだけ和訳が良いかな、と思っています。
両方が混ざっている場合はどちらかに統一した方が良いでしょうね。モンスター事典で例を挙げるなら、個人的にはレッドドラゴン→赤龍はいまいちでしたが、ファイヤーデーモン→火炎魔人はかっこ良いと思いました。
by 伝説の勇者 (2016-07-09 22:51) 

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