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S3-61 14日目:クラッタバク平原の魔女ディンタインタ [ソーサリー3:七匹の大蛇]

つまずいたり足を滑らせたりしながら曲がりくねった階段を下っていくと、やがて足元はばらばらの瓦礫へと変わっていった。
時々休憩しては前方を窺いつつ、そのまま進み続ける。

急に足を止める。次の上り坂で何かが動いているのだ。すごい速さで近づいてくる。
君は道の真ん中で立ち止まり、その人影が近づいてくるのを観察した。そいつは君の身長の半分くらいの大きさの2本足の生き物だ。だが驚くべき速さで近づきつつある。
手を上げてその小柄な人物に挨拶する。もっと近づいてくると、そいつが黒い肌の不格好なノームのような生き物だと分かった。短い脚を信じられないほど速く動かしながら、杖で身体を支えている。
君はノームに変装して旅をしている魔女について教わったことを思い出した。もしかすると、この小汚い生き物のことなのでは?
「あんたが魔女ディンタインタだな!」君が断言する。
ノームが小首を傾げる。「なかなか目ざといね。」そう言うと、ノームは君の目の前で長いローブをまとった背の高い女性へと姿を変えた。
「ノームじゃなかったのか!」
「鋭いじゃないか。」彼女はその場でくるっと一回りすると、膝を曲げて挨拶をした。「あたしはディンタインタ。『丘のディンタインタ』さ。シャムと呼ぶ者もいるけどね。」
「あんたを探すよう言われていたんだ!」カーレの墓地でシンヴァ卿が(2度目の)死の間際に教えてくれた謎かけを思い出しながら、事情を説明する。「あんたなら俺を助けられると聞いてね。眠れぬ雄羊について尋ねたいんだ。」
彼女がうなずく。「そうかい、あたし達はめでたく出会ったってわけだ。で、あんたは何者だい?」
「俺は王たちの冠を探している。」彼女に思い切って打ち明ける。
「色んな輩が冠を求めたけど、」彼女が低い声でつぶやく。「どいつも手に入れた途端、邪悪を世界にもたらしてきた。あたしらが歩いてきたこの荒野も冠の仕業なんだよ。」
「アナランドに冠を取り戻したいんだ。」
ディンタインタが顔をしかめる。「アナランドは冠を失うほど国力が低いけど、」彼女が答える。「もう一度失う羽目になってもいいのかい?」
「俺にどうしろと?」君が言い返す。「大魔法使いの支配を許してはならないのに。」
「たぶん、この世界は冠にうんざりなんだ。」彼女が言う。「あるいは、もっと温和な人物が被るべきなのかも。」そう言うと、彼女はキラキラした目で君をひたと見つめた。
笑っている?嘲っている?それとも未来を視ている?君には何とも分からなかった。
「眠れぬ雄羊について教えてくれ。」君が最初の質問をもう一度する。
「眠れぬ雄羊はマンパン要塞にあって、大魔法使いを守っている。石像だから、あんたの技量じゃあいつのパワーには敵わないよ。でも単純な弱点があってね。」
「液体の入った瓶、とか?」
「瓶だって?像が瓶で傷つくとでも思っているのかい?瓶の中身を飲める像があるとでも?」ディンタインタが笑う。「秘密はいたって簡単、子供でもできるくらいさ。眠れぬ雄羊は歌を聴かせると眠るんだ。」
「ところで、ここの山中にトンネルがあると聞いたんだが。何か知ってるかい?」
彼女が首を振る。「大昔にはね。でも今から千年前に最後の一つが落盤したはず。大橋が落ちた今、山を越える道はないよ。」
「最後に、あんたはどんな流派の魔法使いなんだ?」君が尋ねる。
「多忙派さ。」彼女がきつい口調で言う。「何故そんなくだらない質問であたしの時間を無駄にするんだい?」彼女は背を向けると、再び自分に呪文を掛け始めた。
感謝の意を込めて彼女にうなずく。
「あっ、そういえば!」彼女が声を上げる。「忘れてた。あたしが今回のことを予見した時、他のことも視えたんだった。でも何だったかしら?」
「俺に何かくれるとか?」
少し考えてから、ぶつぶつつぶやきながら指で数え始める。「あたしはディンタインタ、冠は悪い、雄羊には子守歌、杖をプレゼントする、さよならを告げる…。」
「待った!」
彼女が目を上げる。「何か間違った?」
「杖だよ。」
「それだ!」彼女は手を伸ばして君に杖を手渡した。「これが最後の贈り物だよ。樫の若木の杖で、とても力があるんだ。さあ、これでお終い!全部済んだわ。」
ディンタインタはまた元の醜い格好に戻った。そしてさっさと平原を横切っていき、その姿は見えなくなった。


【変化点】
・+樫の木の杖

【手掛かり】
・眠れぬ雄羊…:眠れぬ雄羊はマンパン要塞に存在する恐るべき像だ。

【感想】
高速移動中(笑)のディンタインタには、クラッタバク平原北部の複数箇所で遭遇することができます。
原作では眠れぬ雄羊に瓶(に入った何かの液体)が有効だったので、今回の原作を意識した選択肢はちょっと笑えました。でもあれを主人公にくれたのも彼女だったはず…。
樫の木の杖をもらう代わりに、時の大蛇を倒す方法を尋ねると、「時の弱点は時そのもの」というヒントをもらえます。
また、主人公が冠を我が物にするよう、彼女がそそのかすシーンが非常に印象的です。←第4部の結末の伏線!
20180716-1a.jpg
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伝説の勇者

出会い頭にシャムの正体を指摘するとは思いませんでした。
眠れぬ雄羊の弱点が液体じゃなく子守唄とは、思わぬ改変ですね。
千年前に落盤したトンネル…古代世界に行けと言わんばかりの情報ですね。
by 伝説の勇者 (2018-07-23 22:39) 

teamtomtom

バクランドでは3人の魔女(ブリア、フェネストラ、ディンタインタ)に会えますが、全員ただ者じゃありません。ブリアは大魔法使いその人の直弟子、フェネストラは7匹の大蛇を倒せるほどの力量、ディンタインタはマンパン要塞の秘密に精通、などなど。味方だったから良かったものの、これが敵だったら大変な障害になっていたはず。
トンネルには古代世界のカリアンマ村から行けますが、その奥には2つの秘宝が隠されています。最強ルートが目的なら外せないところです。
by teamtomtom (2018-07-29 22:57) 

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