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S4-10 18日目:シフーリの心遣い [ソーサリー4:王たちの冠]

大きめの小屋の外に座っているシフーリに近づき、お辞儀をする。
「ようこそ。」彼女が言う。「くつろいで過ごしておくれ。」
「ここでどうやって生き抜いているんだ?」君が尋ねる。「あそこから少し離れているだけのこの地で。」
シフーリが肩をすくめる。「これが我々の持つ全て、ささやかな帝国なんだ。」彼女が遠くに目をはせる。
君は初めて、彼女の眼が霞んでよく見えないことを悟った。「目が見えないのか?」
「まだ見えるけど、」シフーリが答える。「年々見えづらくなってきてね。我々は皆創り出された生物だけど、生き続けるようにはできていないのさ。」
「マンパンに行ったことがあるのか?」
シフーリが不愉快そうに蹄をもぞもぞと動かす。「かつてはマンパンにいたよ。少なくとも我々のうちの何人かは。そこから脱出したんだ。」
「それなら、砦に入る方法を知っているんだな?」
「お前さん向けじゃないね。」彼女が首を振る。「壁の崩落した部分を登って、自由への道を這い降りたんだ。我々の種族には一番頼りになる蹄が備わってるけど、それでも何人かは転落して命を落としたんだから。」
「あんた達は大魔法使いの囚人だったのか?」
「そんな類だね。」
「でも今は自由なんだろう?」
「今まで大魔法使いが気づかなかったか、それとも気にも留めていないのか。いずれにしても、束の間の平安だよ。」
フーフボーンの秘密が何であれ、彼女がそのことを話したくないのは見て取れる。そこで、君はその話題から離れることにした。
「バードマンについて何か教えてもらえないか?」君が尋ねる。
「残忍な生き物だけど、少しは望みがあると思う。」彼女が答える。「連中は強いよ、いずれは大魔法使いの支配力から逃れるほどにね。」
君はうなずくと、背を向けてその場を後にした。
「最後に一つ、」君が歩み去る前に、彼女が声を掛けてくる。「もし大魔法使いを見つけたなら…、」
「伝言があるのかい?」
「そんなところさ、」彼女が告げる。「…躊躇なく殺しな。」
そう言うと彼女は、答えを求めて遠くの地平線の方へ視線をさまよわせた。

一人の痩せたフーフボーンが岩壁にもたれて立っている。彼のそばには、2,3個の壊れた荷造り用のかごが置かれ、中にはガラクタが入っている。
君が近づいていくと、彼は片手を上げて挨拶してきた。
「ごきげんよう。」
商人がうなずく。「これが俺達の商品だ。」彼が言う。「少ないと思うかもしれないけど、何個かは興味を持ってもらえるんじゃないかな。」
広場の向こうからシフーリの声がした。「このご仁は公正に扱うんだよ、ラハン!我らの種族にとっての友人なんだからね!」
商人がうなずく。


【変化点】
・精霊:キツネ→ゴリラ

【感想】
ここで彼女に根掘り葉掘り質問して、フーフボーンが大魔法使いの実験の産物だったことまで聞き出してしまうと、彼女の心証を悪くしてしまいます。一方、心証が良ければ、シフーリが商人に声を掛けたタイミングで、精霊が変わるようです。
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伝説の勇者

サテュロスは作られた生物という設定になっているんですね。もしかして鳥男もそうなんでしょうか。
蹄のおかげで自由への道を這い降りられたと聞いて、「鹿は四足、馬も四足」の理屈でひよどり越えの逆落としを実行した源義経を連想したのは僕だけでしょうか。
by 伝説の勇者 (2019-07-20 23:04) 

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