SSブログ

S4-93 23日目:大魔法使いの一方的主張 [ソーサリー4:王たちの冠]

「冠は他者の意思を操るのだ。」君が答える。
「その通り、だが君はその真理を理解し尽くしていない。冠はグリマルキン、つまり星の光を魔法に注ぐための道具だ。従って、冠は金の装身具で飾られ、骨の腕輪が一列に並び、使用者の頭を布で覆う造りになっている。それによって、賛美・幻影・読心の呪文が生み出されるのだ。」
「あらゆる呪文には対抗呪文がある。」
「個々にはな。だが、全て同時には対抗できぬ。しかも、組み合わさると計り知れない力となる。」
大魔法使いがワインのグラスを置く。「理解したまえ。冠は命令するわけではない。使用者の願望を、周囲の人々の無意識、反射行動、自発性にすり替えてしまう。それ自身は自由な意思に則っているに過ぎないがね。」
「自由な意思だと?」
「君がそれをどう呼ぼうとも-例えば内なる声でも-構わない。霊感を受けたり、夢を見たり、発明したり、そういったことを冠は引き起こす。冠の支配下にある人々は、自分達ましてや他者が操られていることなど知りようもないし、抗うすべもない。王たちの冠は、時が川の流れを方向付けるのと同じやり方で、人々の意思を決定するのだ。」
「ならば、貴様には過ぎた代物だな。」
「それには同意しかねる。」満足げに彼がうなずく。「君には、だ。それ以上に、君の結構な王にもだよ。要するに、誰にとっても過ぎたるものなのだ。」
束の間、彼は妙に悲しげな眼をして間を置いた。
「君はこの冠を求めて長い旅をしてきた、それはわしも知っている。わしが邪悪で暴君だと思い込んでいることも。」「だがわしはそのどれでもなく、衰退したとはいえ高貴な組織である、魔法使いの要塞の大魔法使いだ。それにわしは、無知蒙昧な君が『過去の光の灯台』を使って引き起こした、我が領土の問題を修復しようと日々努めておる。」
「あれらを置いたのは貴様自身だ。」
「そうだ。触らずにおくことで、これまで一万年にわたって人々は庇護を受けてきた。どの塔も施錠されていたことに気付かなかったのか?過去の光は太陽のパワーで焼き尽くすがゆえ、ろ過や測定をせねばならん。それを君は5つの灯台を全開にして、我が大地に浴びせおった。我が人々にだ!」
ほとんど叫ぶようになりながら、彼がこぶしで机を叩く。目の端には涙すら浮かべている。
「他に手がなかったのだ。」君が冷たく答える。
「ここに来る方法が他になかった?自分の御大層な使命のために?それをティンパンの人々に言ってみるがいい。」彼の声は怒りで震えている。
「冠を寄越せ、それで終わりだ。」
「アナランド人、それはできぬ。仮にわしがそうしたくてもだ。なぜなら、わしは冠を持っておらぬし、これまで手にしたこともないのだから。」


【感想】
S4-22でも言及しましたし、主人公の名誉のため何度でも言いますが、主人公が到達した時には既にイシュタラは荒廃して現在のバクランドと化していたので、主人公は無実です!原告の主張(もしくはアプリ版の設定)には矛盾があります、裁判長!
nice!(0)  コメント(3) 
共通テーマ:ゲーム

nice! 0

コメント 3

青蓮

大変遅くなってしまいましたが、今年も更新楽しみにしています。

主人公の無実には全く同意です!
白骨の「(大魔法使いが)幸せだった過去にずっと隣り合わせの空虚さをもたらした」という台詞からも、犯人が誰なのかは明らかなんですよね。
思うに、主人公が灯台を使用した時点で本来の歴史が、『イシュタラを破壊したのは主人公だ』というものにすげ替えられた設定になるのかな?
これでスローベンから呪われる筋合いは全くないと思うんですが。
いずれにせよ、設定が広がりすぎて脚本に詰めの甘さや矛盾が生じたりしたのでは?なんて邪推しています。

灯台利用後の主人公悪者設定は自分も納得がいかないので、最近はもっぱら『灯台を利用せず全ての大蛇を倒す(No Beacons, All Serpents:NBAS)プレイ』ばかりしています。
要一発必中、とてつもなく面倒ですが、溜飲は下がります!
by 青蓮 (2021-01-29 06:44) 

teamtomtom

青蓮様
おっしゃるように、アプリ版は設定が矛盾しているような箇所がありますね。原作やタイタンと異なる設定(コレタスの人物像とか)があることも少し残念な気がします。それでも、原作で感じたもどかしさや無念(笑)を晴らしてくれるので、やっぱり優れた作品なのは間違いないです。
NBASも魅力的ですよね。灯台ワープをしないという点では原作により近いので、これをリプレイルートにしようか大いに迷いました。ですが、個人的に第3部の最重要課題としていた、「七大蛇をいかに強大な敵キャラとして魅せるか」を考慮して、今回のルートに決めました。攻略ルートの自由度が幅広いという点も、アプリ版の大きな魅力ですね。
by teamtomtom (2021-01-30 01:12) 

teamtomtom

S4-59で、何故スローベンが主人公にZEdの呪いをかけたのかさっぱり理解できなかったのですが、青蓮様のコメント↓が的を射ているかもしれませんね。

>思うに、主人公が灯台を使用した時点で本来の歴史が、『イシュタラを破壊したのは主人公だ』というものにすげ替えられた設定になるのかな?
>これでスローベンから呪われる筋合いは全くないと思うんですが。

つまり、イシュタラを破壊した主人公は、イシュタラのカリアンマ村出身(S4-57参照)のスローベンにとって、故郷を破壊した憎き仇である、と。
by teamtomtom (2021-01-30 22:26) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。