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S4-97 23日目:脱獄を試みるも、ことごとく失敗 [ソーサリー4:王たちの冠]

「もし本当にいい案がないなら、」ジャンが言う。「楽しむのが一番じゃない?僕、2つ3つ愉快な歌を知ってるよ。」
「どんな?」
「えっ、正気かい?」ジャンがつっけんどんに答える。「すぐに諦めちゃだめだってば。そんなの許さないからね!」足元の床石を華奢な足で踏み付ける。
壁、扉、天井を注視しながら、牢屋中を見回す。ここはかなり頑丈に建てられているようだ。
唯一の開口部は換気用の小さな鉄格子だが、幅は君の握り拳より少し広いくらいで、君の身長の倍以上も高い場所にある。
ジャンが飛び跳ねながら少し近寄る。窓の外から、金属がガチャガチャぶつかる音が漏れ聞こえてくる。
「軍隊が集結してる。」ミニマイトがささやく。「あんたが見つかった今となっては、連中はバクランドへ向けて進軍するだろうね。」
「その後どこへ向かうんだろう?」
「どう思う?」ジャンが尋ねる。「アナランド、ブライス、ラドルストーン、ラムール、どこへでも行くさ。大魔法使いは旧世界全体を統一しようとしているんだ。」
「侵略か。」
「破壊だよ。」彼が壁に近寄って、背中をこすりつける。
「君は何故俺を追ってきた?」
「あんたは王たちの冠を追ってただろ?ミニマイトの助けなしで、どうやって手に入れるつもりだったんだい?」ジャンが肩をすくめる。「言うまでもないことさ。僕達はマンパンに愛着なんてないからね。」

目を閉じて祈るが、何も感じられない。ここには神も精霊も手が及ばないのだ。
ジャンが退屈そうに座る。

肩を硬直させ、肘を緊張させてから、扉に体当たりする。
扉はびくともしなかった。石壁そのものに突っ込んだのと同じようなものだ。
「扉の反対側の鍵穴に鍵が刺さってるのかも。」ジャンがそれとなく言う。
ひざまずいて鍵穴に目を当てるが、何も見えない。塞がれているようだ。

再び立ち上がり、以前アナランドから送られてきた手紙を取り出して、扉の下に滑り込ませる。そして、自分の鍵の一つを鍵穴に突っ込む。
カチンと音がして、扉の向こう側で石床に何かが落ちた。
紙を引き戻す。引っ張っていくと、鍵が扉の下にぶつかってカチリと音を立て、床の上に押し出された。
紙が空っぽで戻ってくる。
「何してるのさ?」ジャンが尋ねる。「そんな紙切れで拭き掃除でもしてるのかい?それとも衛兵が興味を持って扉を開けてくれるとでも?」
「鍵を回収できると思ったんだ。」君が弁明する。
ミニマイトが笑い出す。「そんな間抜けな思い付きは今まで聞いたこともないよ!」彼がゲラゲラ笑う。「もし扉の下に鍵が通るような隙間があるなら、あんたが手を伸ばして取れるじゃないか。何なら僕が這い出せるかもね、羽根もなくなっちゃったし。」

「DOP!」
両腕を広げて呪文を唱える。星の光のエネルギーが身体を走り抜けるのを感じる。
だが何も起こらない。
ジャンがため息をつく。「今は無理じゃないかな?」


【変化点】
・現在/最大体力:10/18→9/18(魔法)

【感想】
ジャンとは気が合ういいコンビなのですが、魔法が使えなくなるのは致命的。
今年こそはソーサリーシリーズを終わらせる所存です。
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かずお

久々に読み返しております。

もうすぐで終わるのかな?と読み直しても、記憶の隅にある創元社版の記憶がアプリ版と衝突しちゃってます。

年内に終わったとして…次の旅はあるのでしょうか?ブラッドソードの頃から長い旅を続けてきたトムトム様、この先に旅立つのか一旦身体を休めて次の大陸を探すのか…どの様な決断されても最期まで付き合いますよ、電子の海の向こうから。
by かずお (2021-01-12 23:00) 

teamtomtom

かずお様
このブログに初コメントしていただいてから、もう5年以上経ちますね。ここまで予想以上に長かったです。でも、まだ終わりそうで終わらないんですよ、これが。
いずれまたブラッドソードに舞い戻りたいという野望(笑)はありますので、末永くお付き合いいただければと思います。
by teamtomtom (2021-01-30 00:32) 

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