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S3-31 11日目:樹の下のエルセラ [ソーサリー3:七匹の大蛇]

きちんと舗装された道を離れ、草地を横切る。夜の空気は冷たく、まるで氷のようだ。
夜行性動物が鼻を鳴らしたり藪に頭を突っ込んだりしている。頭上では、細長い鳥の群れが冷たい空気の中、ハエを追いかけながら飛び交っている。
少し前に目にした枯れ木は、今や力強く枝を広げた若木になっている。まるで数分前に植えられたかのようだ。あの背の高い枯れ木とはとても信じられないが、場所は同じなのだ。
その木陰には、一人の女性が目を閉じたまま足を組んで座っていた。
しばしその女性を見つめる。ゆっくりと息をして、何かをつぶやいている。お祈りしているのだろうか?この平原の生き物がどんな獣を神として信奉しているのか分かったものではないが。
彼女の首には巨人の歯らしきものが革ひもでぶら下げられている。
君は瞑想中の女性に近づいて静かに咳払いした。「ちょっといいかい。」
女性は片方の目を開けると、悲しげに首を振った。「あそこに行くつもりなのね。」少し向こうの東の方角を指差しながら彼女が言う。
「どういう意味だい?」
もう片方の目も開けながら、彼女は首を振った。「気にしないで。練習すれば予知の力が上達すると言われてたから。」彼女が手を差し伸べる。
君が握手すると、彼女は笑った。「随分堅苦しいのね。ようこそ、旅の人。私はエルセラ。ようこそ、平和と豊穣の地イシュタラへ。」
「シャドラックもこの地をそう呼んでいたな。」君が言う。
「もちろんそうよ。」彼女がにっこり微笑む。「あなたの物腰を見てると、あなたがここでは全くの異邦人だってことも分かるわ。イシュタラはね、東はザンズヌ連峰から北のクラウドキャップ山脈と南の海にまで及ぶ古代世界のことなの。」
「俺はアナランドから来たんだ。」君が告げる。
彼女の表情から、その地名が彼女には意味不明だったと思われた。「きっと遠くから旅してきたのね。」上品にうなずきながら、彼女が答える。「少しの間、一緒に座らない?」
「どこかで休みたいな。」首を振りながら君が答える。「夜はもっと寒くなる。」
彼女がうなずく。「そうよね。向こうにフィッシュテイルロックと呼ばれる洞窟があるわ。」君がシャドラックに会った東の方に向かって、彼女は手を振った。「そこに住んでいる隠者はきっと気にしないはず。」
「俺は彼に会ったことがあるんだ。」君が答える。
「彼は聡明な人よ。」彼女がため息をつく。「少しの間だけど、彼は私のお師匠様だったの。でもあの人はうんざりしてきたんです、私の…に。」彼女が額を軽く叩く。「彼は私が愚かだとおっしゃいました。私も…そう思う。」何かの理由があるのか、彼女は後ろの樹の幹をなでた。「ともかく、今は独学の身よ。」
君は彼女の真向かいに腰を下ろした。彼女が君に微笑む。
「私は第3の目を訓練しないといけないの。」額に埋め込まれた小さい宝石のような何かを指で示しながら彼女が言う。「一緒にどうかしら?」彼女はポケットに手を突っ込むと、小さなサイコロを取り出してみせた。
「スウィンドルストーンかい?」君が尋ねる。
彼女は面白がっているようだ。「スウィンドルストーン?シャドラックは以前そう呼んでいたけど、ここではマインドストーンと呼ばれているのよ。私はあなたの考えを読んでみるわ。あなたが私の心を読もうとするのと同じように。いかが?」
「君は心が読めるのかい?」用心して尋ねる。
彼女が首を振る。「いいえ。勉強はしているのだけれど、私のその感覚は弱いの。お願い、訓練に付き合って。」
君が天上の星に向けて呪文を唱え始めると、エルセラは君の腕を掴んだ。「これは魔法じゃなくて内なる感覚を試すゲームなの。」彼女は額に手を当てた。
「分かった、やろう。」君が宣言すると、エルセラは微笑んだ。
「ありがとう。あなたにとって骨のある相手になればいいのだけど。」


【感想】
別な場所で再会した際の会話によると、彼女は16歳だそうです。イラストではもっと大人びて見えますが。
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