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S3-36 12日目:生前の魔女ブリアから対抗呪文を教わる [ソーサリー3:七匹の大蛇]

無人の空き地を後にして、元の山道に戻る。岩肌はすっかり静かなままだ。ただ、ロックデーモンが横たわっていた場所だけがえぐれている。
歩みを落とさずに進み続ける。

登りは殺風景な岩の高台で終わっている。今日は晴れそうだ。また暑くなるだろう。
ここはかつて火山が形成した円錐状の台地なのだろう。埃っぽい石のくぼ地が広がっているが、無人ではない。真ん中に、急勾配の布地の屋根が付いた円形の小屋が建っている。
古い火山の広い火口をぐるっと見渡すが、見るべきものはほとんどない。土に混ざった火山灰が、君が山腹で目にした青々とした森林を育んだことは間違いない。少なくとも、再び火山が噴火することはなさそうだ。
冷たい山頂を吹き渡る風が君の肌に掴みかかる。

小屋に近づく。壁は木の厚板で作られ、下の岩にしっかりはめ込まれている。これは仮の掘立小屋や旅人のテントの類ではない。煙突からは薄い煙が微かに立ち昇っている。
小屋の周りを歩いてみる。とある斜面に、山腹を縦に走るすべすべした岩の裂け目を見つける。遥か下の谷底まで矢のように真っ直ぐ続いている。
石が数個、東の急斜面を転がり落ちて消えていった。

扉に近づいてノックする。中からしわがれた声がする。「遅いよ!早くおし!」
「BIG!」
呪文を唱える。しばらくは何も起こらなかったが、やがて急に君は3倍の高さまで大きくなった!
ここには強い魔力を感じる。まるで高位の魔法が存在しているかのようだ。
声の言葉に好奇心をそそられ、扉を開ける。背を丸めて腹ばいになって、背の低い小屋の中に入る。

小屋の中には立つ余地がなかった。君の巨人化の呪文のせいではあるが。
「あたしもお前さんも魔法使いだとしたら、」しわがれ声が告げる。「どっちの力が上だか分かるかい?」
「迷うまでもない。」君が返す。「それは俺だ。」
「そうかね?」声が答える。少ししてから、音楽の一節が聞こえてきた。すると突然、君の両手両足は急に上下に動き出した。
「何だこれは?」
別の音楽が流れ、君はつま先を軸にクルクルと回り始めた。君は踊っているのだ!
身体を落ち着けようとするが、全く思い通りにならない。君の手足が外から操られているというより、むしろ踊りたいという強迫観念‐くしゃみのようなもの‐が強くて、いても立ってもいられないような感じだ。
「これに抗えるほど力があるわけじゃなさそうだね。」声が告げる。音楽が止まり、君は近くの椅子にへたり込んだ。
「俺はそれの対抗呪文を知らないんだ。」
話し手が立ち上がって近づいてくるのが聞こえる。しわだらけの固い手が差し出される。
「正直だね。不器用の呪文は踊りの呪文を無効にできるよ。落ち着きな、お前さんを本当に傷つけるつもりはないんだから。どうぞいらっしゃい。」
君は大きな指で相手の小さな手と握手した。
小屋の中は柔らかな光で照らされ、今は君にも魔女の姿が見えた。だが、彼女があまりに年を取っているので、そのしわのせいで彼女の顔の特徴がよく分からない。
君が彼女を見つめていると、彼女はニッコリと笑った。「この年になると、誰にだってなれるのさ。」
「あんたは魔法使いなのか?」
「そう。」彼女が微笑む。「私の名はブリア。かつては高地ザメンの魔法使いだった。少し前にあそこを離れたのだけど。お前さんのことは歓迎するよ。」ここで彼女が眉を寄せる。「でも、いつもより3倍の図体でここを踏み荒らし続けるつもりなら、強盗に押し入ってきたとみなすからね。そうなったら、もう話はお終い。」
「すぐに切れると思う。」のん気に君が答える。
「それじゃ遅過ぎる。」ブリアは舌打ちをすると、脇の小物入れに手を伸ばしてサイコロのような大きさと形をした何かを取り出した。
「それは?」君が尋ねる。
「巨人の歯だよ。」それを床の上に放りながら彼女が答える。直後に歯から煙が立ち上った…。
小屋のど真ん中に巨人が姿を現すと思い、君はすぐに後ずさった。だが何も起こらない。煙はすぐに晴れ、君も元の姿に戻っていた。
「対抗呪文か!」
ブリアがうなずく。「巨人化の魔法は巨人召喚の呪文で打ち消せるのさ。」
君は新しい対抗呪文を2つも学ぶことができたのだ!


【変化点】
・現在/最大体力:4/17→5/17(食事)→4/17(魔法)
・食料:7→6日分

【対抗呪文】
・JIG⇔Dum
・BIG⇔YOB

【感想】
生前のブリアに会えるのは古代世界で、旧世界ではハーピーに襲われた挙句引き返すことになります。このように、灯台の光の微妙な位置調整が今回の(以下略)。
当初、『chimney』を煙突と訳していましたが、登山などの用語で使われる、縦方向の岩壁の割れ目とした方がしっくりきそうです。
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伝説の勇者

何でわざわざ巨大化してから家に入るのかと思ったら、対抗呪文の情報を得るためだったんですね。
巨大化した相手を踊らせたりなんかしたら、自分の家に余計な被害を増やすだけなのでは…
考えてみると、相手の呪文を打ち消したければMAGを使えば良いのですから、対抗呪文の存在って自分の呪文が自由に使えなくなるデメリットの要素ばかりなのでは…MAGでも消せないほど強力な呪文を使われて、対抗呪文でなら消せるというパターンでもあるんでしょうか(原作でよくあった、使いたくても選択肢に無いせいで使わせてもらえない、ってパターンは嫌ですね)。
by 伝説の勇者 (2018-03-07 23:11) 

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