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S3-90 17日目:はめられた主人公 [ソーサリー3:七匹の大蛇]

緩い坂を上り始める。前方には、岩だらけの道がザンズヌ地方へと向かっている。その先は、君の最後の冒険の舞台となるマンパン要塞だ。
君はまだ秘密裏にそこへたどり着けるかもしれない。

倒れた木のそばを通った時、そこから剣の柄が突き出ているのに気づく。
調べてみると、それは実に作りの良い剣だった。剣には2つの文字が刻み込まれている。
 『進呈』
剣は幹から滑らかに引き抜けた。長く反りがあり、精緻にバランスが取れたバタフライ型の剣だ。暗殺者組織の剣そのものだ。
遠くの方で、黒衣の人影が視界から消えた。いつものように先行している。
挨拶として剣を掲げる。

バクランドを横断するのに8日間かかった。もしも大魔法使いが大蛇よりももっと秘匿性の高い別の伝令を擁していたとしたら、君と道中で出くわすかもしれない。できるだけ足早に行こう。

歩いていくと、君は一人の男に呼び止められた。
「あんた、」彼が息を切らせて尋ねてくる。「高地ザメンへ行くのかい?」
「この道が続いているところまでな。」
男がうなずく。「そうかい、そうかい。」男が重い背負い袋を握り直す。「おいらは帰るところでよ、」彼が言う。「故郷のカリアンマに。湖の向こう、さらに湿地の向こうの小さな村なんだ。きっとあんたは知らんだろうがね。」
「長い道のりになるな。」君が答える。
「なあに、橋を越えるだけさ、一日もかかんねえ。」彼が答える。それから彼の表情が曇り、渋面が顔を覆う。「去り際に聞いたことが気になってよ。」
「この地はどこも危険だ。」君が男に警告する。
「おいらもそう思ってはいたんだ。」彼が陰気にうなずく。「あんたも知ってるだろうが、要塞の上の方にいるバードマン達が話してたんだ、灯台のことでよう。連中が言うには、灯台がこの地を無人に変えているんだと。おいらはただの農夫なもんで、魔法のことはよく分かんねえ。そんで、できるだけ急いで家に向かってるだ。」
「無人に変えている?」彼の腕を掴んで問い詰める。「どうして灯台にそんなことができるんだ?」」
「連中が言ってただよ。」彼が幾分動揺しながら答える。「灯台が村々を丸ごと消し去って、後には岩と塵が残るのみなんだと。妙な話だとは思うだ。でも、ティンパンが一夜にして廃墟になって、住民が消えたっていう噂も聞いたもんで。」
彼が声を落とす。「この地で一番邪悪な魔法使いの仕業だと、連中は言ってただ。」
「そいつは何者だ?」
「彼らはこの魔法使いを”アナルランド野郎”と呼んでたなあ。そいつがティンパンに光を当てて街を消したのを誰かが見たんだとか。」
「灯台は何をするためのものなんだ?」
「あれはおら達を守ってくれるはずなんだ。」彼が力なく肩をすくめる。「とにかく、できるだけ早く帰ることにするよ。」そう話しながら、彼は背負い袋の取っ手を指の関節が白くなるほど握りしめた。「だがよ、聞いてくれねえか。あんたは強そうだから頼みたいんだ。そのアナルランドの魔法使いを見かけたら、そん時はあんたがおいら達のために倒してくれろ。」
「そんなことできるか。」君が即答する。
「もし機会があったら、考えてみてくれよう。」彼がまじめくさった顔で君の肩を軽く叩く。「子供らのことをさ。」
そう言うと、彼は荷物をしょい直して道を早足に下っていった。その姿はすぐにもやに隠れて見えなくなった。

道の両側には古代の隊商、魔法使い、荷車などの幻が、要塞に物を届けようと道をたどっていく。バクランドの盆地の外に出た今となっては、それらの人影は半ば現実で、半ば幻だ-一人が別な者に声を掛け、君を通り抜けるが、君は何にも感じないのだ。
残す住人はバードマンだけだが、悪魔のような金切り声を互いに上げながら、呪いの言葉を宙に吐き出している。
太陽が最も高い峰の向こうに沈む。その最後の光線が、君の残りの日々の-2,3日なのかもっと長くなるのかにかかわらず-記憶として残るであろう光景を照らし出す。
あれがマンパンだ。高い尖塔と鋭い角度が、構造物を錆びた刃のように見せている。
一つだけ確かなことがある。あの要塞は間違いなく君の旅で最も危険な舞台となるだろう。


【変化点】
・+暗殺者の剣(+4)

【感想】
最後の文章(道の両側~)は古代世界のものですが、旧世界だと以下のように少し変わります。
「ここはかつて立派な道路だった。階段の隅に金箔の名残りがあり、そして道に沿って建つ列柱には彫刻とランタン用の穴が施されている。だが全ては大昔に打ち捨てられたままだ。(以下、バードマンのくだり)」
主人公が来た時にはすでにバクランドは荒廃していましたが、灯台を利用したことでこれが主人公の仕業にされてしまったようです。おまけに、ありがたくないあだ名まで頂戴する始末…。一方、灯台を使わずに進むと、やはり第4部が違った展開になる模様。
20181007-5a.jpg
最後の旗には、「マンパンへ!」と書かれています。
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