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S4-2 17日目:古代の山道を行く [ソーサリー4:王たちの冠]

太陽が傾き始め、空気が冷たくなってきた。長い歳月の中で摩耗し、ほとんど跡形がなくなった古代の階段を上る。
素早く後ろを振り返る。イルクララ湖の輝きがかろうじて見える。君があそこを越えてからずいぶん時間がたったような気がする。水の大蛇が顎を閉じる光景を思い出し身震いする。
背負い袋を開いて食料を確認する。満足してうなずく。6日分に足る食料がある。だがそれでも十分というわけではない。もし6日以内に冠が見つからなければ、食料不足が君の死因になるだろう。他に4日分の生魚も持っているが、料理方法が見つかって初めて食料の足しになるのだ。
遠くの方に、黒煙が立ち昇るのが見える。
暗殺者の剣を1インチだけ鞘から引き抜く。刃が日光にギラリと輝く。質の良い強力な武器だ。前途に待ち受けるどんな恐怖に対しても、十分に武装できている。
凍てつく空気の中、フードを引き上げ、弱々しい山間の日差しの中を進む。ここでぐずぐずしているわけにはいかないのだ。

上っていくにつれ、楽天的な考えが君の歩みを捗らせてくれた。バクランドは呪われた地だったが、結局のところ、君はうまくやりおおせた。君の存在はまだ大魔法使いに知られていない可能性があるのだ。
顔を上げて進み続ける。

前方の地平線に太陽が沈み始めた。両側にはザンズヌ連峰が、ギザギザの顎のようにそびえている。道は行きつ戻りつしながら曲がり、マンパンの陰惨な姿がチラリと目に入っては消える。
十分な光があるうちに進むべきだろう。
連峰を巡回する恐るべきバードマン‐大魔法使いの目と耳‐の気配に注意を払いながら、空を見上げる。

道の両側に、こんもりした下生えがせり出している。前方では階段が曲がり、先が見えなくなっている。次の角の辺りに何があるのか、さっぱり分からない。

どこまでも続くような階段を上り続ける。
夕闇が深まるにつれ、風が出てきた。まもなく夜になるだろう。

階段の天辺に着いた。角を曲がると、そこには3つの洞窟が岩にぽっかりと口を開けていた。
洞窟を興味深く注視する。真ん中の洞窟は入り口が最も小さく、おそらく窪みといった程度だろう。一番手前のものは、火を焚くのに十分な大きさがあるが、不愉快な驚異に出くわしうる深さでもある。一番遠くの洞窟には、足跡が点々と続いている。
足跡に近づいて眺める。大柄な生き物と思われる深い跡がついているが、もはや新しいものではない。少なくとも2,3日前だ。洞窟から出てきた形跡がないことも分かる。
「POp!」
持っている玉石に呪文を掛け、手前の洞窟に投げ込む。とてつもない爆発が起き、君は後ろ向きに地面へ打倒されてしまう。
入り口から黒煙が漂い出る。マンパンから見えないことを祈るのみだが、少なくとも、これで洞窟の一つは安全になったわけだ。


【変化点】
・-玉石(1個)

【感想】
原作では、迫りつつある嵐から逃れるために洞窟を選択したのですが、アプリ版では特に嵐は迫っておらず、素通りすることすらできます。嵐をよそに洞窟で一夜を明かしたり、中で謎の小瓶を見つけたりする描写が気に入っていたので、ここの変更は少し残念なところです。
とはいうものの、さすがはアプリ版。洞窟に入る前に呪文が使えるようになり、例えば今回のように爆破すらできてしまいます。これであの臭い獣と戦わずに済むわけです。汚物は消毒だ~!![爆弾]
Screenshot_20190519-112859.jpg
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伝説の勇者

いきなり洞窟内に先制攻撃をかけられるとは嬉しいですね。
モンスター事典によると、スカンク熊の屁はその艶やかな毛皮にも染み付いて値打ちを奪ってしまうそうですが、今回の方法ならその心配は無さそうですね。いや、今度は毛皮が黒焦げになって値打ちが無くなるか? 毛皮を取らずに、トロール牙峠戦争みたいに肉を焼いて食べるのなら問題なさそうですが。
by 伝説の勇者 (2019-05-22 23:30) 

le lotus bleu

リプレイ再開お待ちしていました!
原作の面影をたどるルート構築、さぞかし大変な、そして楽しい作業だったのでは。
「これは原作のあれなのか?」という疑問符発生場面がてんこ盛りの第四部、teamtomtomさんのリプレイと自分の予想を比べ答え合わせ(?)ができるのを楽しみにしています。
最後まで謎だったフラグって何だろう…こっちも気になります。

以下、若干ネタバレ(?)ですが…
洞窟の小瓶だけでいうと、実は入手可能なのはご存知でしょうか?
ただ、入手方法が若干特殊な上、そこまでして得られるものは…なので、強くお勧めできないのが残念です。
by le lotus bleu (2019-05-24 20:35) 

teamtomtom

伝説の勇者様
スカンクベアの毛皮そのものは、結構質がいいものだったんですね。今回は灰燼に帰すわけですが、原作を知っている人は思わずやってしまいたくなる選択肢だったはず。

le lotus bleu様
第2部と第3部は斬新なシーンを選びましたが、第4部でまさか原作に忠実なシーンをたどることになるとは…。リプレイ自体よりも、その動機を見つける方が大変でした。個人的に謎だったフラグに絡むイベントは、比較的早めに登場しますので、お待ちいただければと。
もし、衛兵のいる牢屋にあったガラス瓶のことでしたら、脱出繫がりで、精霊が出てくる瓶の代わりだと思うのですが。洞窟で見つかる手紙の入った小瓶に相当するモノ、どこかにありました?
by teamtomtom (2019-05-26 10:22) 

le lotus bleu

洞窟の小瓶ですが、第四部からいきなりゲームを始めると(一部~三部はプレイしない)原作と同じ場所で見つけられます。その後お決まりの処置をとると、ちょっとした報酬と裏設定的(?)な情報が入手できます。ずいぶん前にプレイしたきりなので詳しい内容は忘れてしまいましたが、知ると多少は面白い、でも話に強く関わるものではなかったような。
第四部における他の多くの旧作ネタと同様これも微妙な扱われ方ですが、リメイク版でこの部分は完全に削除されたものとばかり思っていた中で発見できたので、嬉しかった…というより(何故か)ほっとしましたね。

あの牢屋に小瓶ってあったんですか!?それは全然チェックしていなかった…あるいは脱出するのに必死になりすぎて見逃した(ろくに読まなかった)のか。そういえば、精霊の存在もすっかり忘れていました(汗)。
by le lotus bleu (2019-06-01 05:19) 

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