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ソーサリー4:王たちの冠 ブログトップ
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S4-20 19日目:塔の番人トロールに苦戦するも撃退 [ソーサリー4:王たちの冠]

朝になり、再び立ち上がる。
道を上っていくと、すぐに急勾配になった。片手を常に岩壁に置いて身体を安定させなければならない。
大きな岩を乗り越え、木の根を掴みながら上り続ける。
前方に石の塔が見える。太陽が地平線からのぞく。

上るに従い、道が高台の頂上に達した。道から少し外れたところに塔が建っている。廃墟のようだ。
塔にはなじみがある。君がバクランドで目にしたものに近い様式で建てられているのだ。だがこれは半ば倒壊している。ほぼ真ん中から上が、剣で斬られたかのように失われてしまっている。

塔の入り口に向かっていくと、戸口に影がよぎった。その姿は前屈みで酷く醜い。ここはトロールのねぐらになっているようだ。そいつはまだ君に気付いていない。
その怪物を観察する。そいつは崩壊した塔の内部を歩き回っている。ある石の塊から別の地点まで行ったり来たりする様は、命令されたもののように思われる。
君が近づくと、トロールの両眼がギラリと光り、君を捉えた。それから日差しの中にのしのしと踏み出してきた。
奴は君よりも少なくとも頭一つ分は上背があり、肩は出口を塞ぐほどもある。そいつは大きく吠えると、君を十分押しつぶせそうなほど大きい盾に重い剣を打ち合わせた。途方もなく強く凶暴な敵だ。
「dIm!」
星を見上げながら魔法を紡ぎ出すと、混乱の魔法の効果が表れた。トロールの眉毛が寄せられ、やや困惑した様子が伺える。奴を少しだけ倒しやすくなったと言えるが、それでもこういった愚鈍な怪物を混乱させるのは至難の業だ。

<第1ラウンド>
トロールがつまづきながら前進してきた!まだ剣の届く距離の外だが、奴は分厚い小盾の後ろに身を隠している。君は野蛮な攻撃に備えつつ、奴の防御を崩そうと剣を構える。
君が剣を振るうと、奴の盾から破片が飛んだ。奴は盾を掲げようとして、自分の顎を打ってしまう。

<第2ラウンド>
君が防御態勢に入る。トロールは盾を掲げて君の周りを回っている。
奴が目を細める。

<第3ラウンド>
目に入った髪をどかそうと奴が立ち止まる。その機会を捉え、君は正確で強烈な攻撃を打ち込む。奴は素早く反応したが、身体を屈めた際に危うくひっくり返りそうになった。
トロールの盾がぴくぴくと動く。

<第4ラウンド>
君はいったん退いた。トロールは盾に隠れたまま、視線を地面に落とす。

<第5ラウンド>
塔の入り口に目をやり、攻撃を続ける。身体を伸ばして、奴の頭上に剣を振り下ろす。剣を持ち上げようとして、奴がうっと声を漏らす。明らかに、自分の剣で喉を刺してしまうのを恐れているのだ。奴は盾で君の攻撃を受け止めた。
奴が大声でわめき始める。

<第6ラウンド>
攻撃の機会を捉え、剣をひるがえして柄で殴る。衝撃でよろめく奴に剣を繰り出すも、奴は素早く身体を反らせた。
トロールが剣を握り直そうとして、もう少しで剣を取り落としそうになる。

<第7ラウンド>
迅速な動きで距離を詰めて剣を突き刺し、気合の入らない相手の攻撃を弾く。トロールはよろめいて倒れたはずみに、危うく自分で自分を刺しそうになった。
奴は剣を持ちなおそうとして、取り落としそうになっている。

<あまりにグダグダなので、途中の戦闘描写は省略>

<第15ラウンド>
この戦いは間違いなく君の勝利だ。前に出て剣で突く。奴はパニックになり、地団太を踏んで聞き慣れない言葉で悪態をついた。
トロールが後ずさる。

<第16ラウンド>
圧力を掛け続け、剣で繰り返し攻撃を加える。身体を回転させて斬りつけた最後の一撃が、トロールの首をはねる!

立ち上がって心の平静を取り戻す。トロールは完全にこと切れている。
奴の身体を素早く探るが、ゴブリンの歯を紐に通したお守りが首に掛かっているのが見つかっただけだ。
紐を引きちぎって歯をもぎ取る。


【変化点】
・現在/最大体力:12/17→14/17(睡眠)→13/17(呪文)→10/17(戦闘)
・+ゴブリンの歯(1本)

【感想】
このトロール、攻撃力もさることながら、体力と防御力が非常に高く、「dIm」を使ったとしても長期戦を余儀なくされます。「mUD」でズブッと沈めるのが正解。
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S4-21 19日目:半壊した塔を探索 [ソーサリー4:王たちの冠]

道は上りも下りも続いているが、君を待ち受けているかのような塔へ向かうことにする。
朽ちた塔の崩落したブロックの中に踏み込む。悪臭がする。
立ち止まって、粉々になった空間を見回す。ここはかつて立派な建物だったらしく、石造部分には彫刻の名残りがあるが、それも今は全てひっくり返ってしまい、野ざらしになっている。
かつては偶像や彫像が置かれていた壁の壁龕や、上階へと続く螺旋階段も、今は半壊している。
辺りを見回すと、石の下敷きになった何か黒いものが目に入った。折りたたまれた布だ。
引っ張り出してみる。布は厚くて重く、きちんと真四角にたたまれている。布地越しに太い何かが中にあるのが分かるが、いずれにせよ重くはない。
布地を広げると、その真ん中には結び目付きの短いひもがあった。
最初、そのひも-登攀には短すぎ、何かを結ぶには太すぎる-の使い道は見当がつかなかったが、布に注意を戻した時、これが何なのか閃いた。僧服とベルトだ。
見たところ、だぶだぶの袖と重々しいフードが付いたワンピースになっており、虫食い穴もない。これなら着れそうだ。
君は素早く僧服をまとって変装した。これで僧侶として通用するだろう。

塔の高さの半分まで伸びる階段を上る。
2つ3つほど踊り場を過ぎると、階段は終わっていた。塔の屋根全体を吹き飛ばしたのと同じ力で刈り取られたのだ。
君の体重で崩れないよう、一歩ずつ慎重に階段の端に歩み寄る。
3歩目で止まる。壊れた階段の端は一段向こうだ。

一歩、また一歩と、なおも上っていく。
背後の階段を振り返ると、何故かそこには無傷のままの階段があった。また前方に目をやると、やはり垂木しか見当たらない。それでも君が進むたびに、階段が次々と現れてくるのだ。

一歩ずつ塔の螺旋階段を上り、ついに存在するはずのない屋根に設けられた落とし戸にたどり着く。
落とし戸を押し開けて、塔の屋根の上に出る。
君の髪をなびかせながら、風が頭上を吹き抜けていく。眼下の道を歩いていた時にはなかった塔の天辺に、君は立っているのだ。
以前見かけた真鍮の灯台がここもある。空中に弱々しい魔法の輝きが見える。
一見したところ、灯台は完全な状態のままのようだが、今は光を灯していない。

落とし戸をくぐり抜け、屋根を横切って、大きな真鍮の灯台の先端が突き出ている塔の端へ向かう。
端から身体を乗り出すと、驚いたことに、塔の下の部分がそこにはなく、廃墟と瓦礫があるだけだった。それにもかかわらず、足下の厚板は十分堅固でしっかりしている。
台地に開いた深いクレーターの方を眺める。それは血を流す傷口のように、シューと音を立てる黒い噴火口によって裂け目ができている。
この不快な場所は、向こうに横たわるマンパン要塞を建てるための石切り場だったに違いない。
そのマンパンそのものが、心臓を芯から凍えさせるほどの威容で地平線を覆い尽くしている。最も高い建物は、大きな窓が一つついた塔-大魔法使いのいる小塔だ。
振り返って灯台を見ると、非常に微かではあるが、筒の先から光がこぼれ出ているではないか。光線がまだ働いているのだ。
その光は極度に細く集光されており、どこか遠くの何かに向かって照射されている。
光線を目で追うと、君にはすぐに分かった。マンパンの中央の塔に向けられているのだ。
灯台から後ずさりした時、背後から咳払いが聞こえた。
「誰かいるのか?」君が誰何する。だが返事はない。

灯台の目の部分に移動する。まばゆい青水晶が先端にはめ込まれている。
水晶に触れると、癒しの快感が血管を駆け巡った。君が後ずさりしても何も変わった様子はない。
重い灯台を動かそうと試みるが、バクランドにあった他の塔とは異なり、こいつはしっかりと固定され、マンパン要塞の中央塔に向けられたままだ。
灯台から歩み去ろうとしたちょうどその時、ローブをまとった人影が明かりの背後の陰から進み出てきた。


【変化点】
・現在/最大体力:8/17→14/17(青水晶)
・変装:なし→僧侶

【感想】
明るい時間帯に塔を探索した時のみ、変装用の僧服が見つかります。
謎深き灯台、その真実が今ここに明かされる-。
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S4-22 19日目:灯台に秘められた真実 [ソーサリー4:王たちの冠]

勇気を出してその人物に近づく。
「ごきげんよう。」そいつが声を掛けてくる。「それで、君はここで何をしている?」
「あんたは何者だ?」
そいつがお辞儀をする。「私は光の管理者だが、それより、そちらがここにいることの方が謎だ。なぜなら、この塔の下層は1匹以上の思考ヘビのねぐらになっていて、通りすがりのよそ者がぶらりと入ってこれるはずはないんだがね。」
「ヘビなどいなかったが。」
「そんなことはない。」管理者が答える。「思考ヘビはほとんど目に見えないが、その先端は実に鋭く、大抵は酷く空腹なのだよ。」
「あんたは間違っている。塔は崩壊していた。」
そいつが辺りを見回して肩をすくめる。「そんなことはないだろう。」彼がとがった顎に手をやる。「概して、これは全く思いがけない状況といえる。」
「2つ3つほど質問させてくれ。」
「いいだろう!」そいつがやや驚きながらも応じる。
「俺がこの塔に入った時、ここは廃墟だったんだ。」君が説明する。
管理者がフードを被った頭でうなずき、いくらか興味を持った様子で考え込む。
「その言葉に真実味があるのは注目に値する。」彼がささやく。「だがそんなことがあるとは思えぬ。ヘビをここに呼び寄せて、そちらの主張を確認すべきかもしれぬな。」
管理者のしゃべり方はどこか妙だ。まるで会話の順番がずれているかのようだ。
「俺はこれに似た灯台を以前見かけたことがある。」彼に告げる。
「これはバクランド全土に建てられた大灯台の最後のものだ。」管理者が語る。「あれらは全てレンズなのだよ。集光し、焦点を合わせ、届ける。集めて届けるのは光だけではないがね。」
「時間を集めるんだな。」
「そう、その通り。」
「あれら灯台がバクランドを破壊したんだ。」
「確かにそうなるだろうな。」管理者が落ち着き払って答える。「灯台は徐々にかの地の未来を奪っていき、我が主、大魔法使いへとそれを送り届けるのだから。」彼がうなずく。「主は不死を望んでおいでだ。それは叶わぬが、並外れた長寿であれば不死に匹敵するものとなる。」
「奴は邪悪なんだ、倒さねばならない。」
そいつが肩をすくめる。「おそらくな。私はそのような判断をする立場にないが。」
管理者が君にうなずく。「私は計算を再開せねば。」彼が告げ、君がうなずいて返答する。「そちらが私の塔を無事に上ってこれたのなら、帰りもまず問題なかろう。」


【感想】
灯台の管理者なる存在が登場、これまで断片的に得られた情報を補足してくれます。やはりイシュタラを破滅させて現在のバクランドのようにしてしまったのは、大魔法使いの仕業と言えそうです。当初はS3-84にあるように、天災を防ぐために建設したのかもしれませんが、現在の大魔法使いがそれを悪用したと考えられます。
というのも実は、ゲームをクリアしても、ティンパンやカリアンマといった第3部に登場したイシュタラの町を破壊したのは主人公だという扱いが最後までされています。でも、かの地は主人公が訪れた際にはすでに荒廃していたので、光の管理者がここで語った通り、大魔法使いが不死を求めて時間を吸い上げ続けたせいだと考えた方が整合性があります。
別の選択肢で、何故大魔法使いに仕えるのか尋ねた場合、彼は「誰かに仕えるのは正当な行為だ、そちらと同様に。」と答えてきます。善悪には無頓着なようです。いや、そこは拘ろうよ。
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S4-23 19日目:最後の灯台を破壊 [ソーサリー4:王たちの冠]

灯台のそばに戻る。光の管理者が疑わしげに君を見つめる。
マンパンの中央塔へと向かう光線の軌跡を眺める。これが大魔法使いの活力の源なのだろうか?
灯台を止める何らかの方法を探す。それが大魔法使いの計画に打撃を与えられるのか、誰か知っているのだろうか?
だが何も見つからない。それに、破壊するには灯台はあまりにも大き過ぎる。
だが、これが邪悪な魔法使いの弱点ならば壊すしかない。君は剣を掲げると、青水晶に斬り付けた。
管理者が止めようと駆け寄るが、もう手遅れだ。君の剣は宝石を打ち壊した。
一瞬の後、光が明滅し、それとともに足下の床が消え失せた…。

凸凹した階下の地面に手荒に叩き付けられる。
起き上がり、もう一度階段を上ろうとするものの、今度は踏み石が崩落しており、引き返すしかなかった。

廃墟を後にして、塔の外に戻る。
この距離からでも、トロールの死体から酷い臭いが漂ってくる。

崖を上る道を行く。太陽が空に昇るにつれ、風が出てきた。
ここで道は二つに分かれている。一つは山際をくねくねと曲がり、もう一方は粉々になった木の橋がある西の方へ続いている。

西へ向かう道をたどる。マンパンから離れる方向だ。
壊れた吊り橋がほんの一跨ぎ先で峡谷の空中にぶら下がり、その踏板が峡谷の底に落ちている。
安堵のため息をつく。先を急がねば。

落石や倒壊した岩盤に注意を払いながら、山崩れの起こった斜面に沿った道を進む。ここはかつて大きな道路だったはずだが、とっくの昔に廃れてしまったのだ。
真昼間なので暑いが、ぐずぐずしている暇はない。

山腹を回り込む道を行く。
ついに、道は廃墟となった建物の外で行き止まりとなった。その向こうにはただ岩があるのみだ。


【変化点】
・現在/最大体力:14/17→12/17(落下)

【感想】
リプレイ中の現時点では、この最後の灯台を破壊するか否かで展開がどう変わるのかは未検証です。そのままにしておくと大魔法使いが倒せないとかだと、ある意味面白いのですが、果たして?
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S4-24 19日目:廃墟の酒場を探索開始 [ソーサリー4:王たちの冠]

建物の扉に近づく。鍵は掛かっていないが、枠が歪んでしまい、わずかな隙間を残して開かなくなっている。
2階建ての高さがあり、タイルを並べた屋根は所々崩れている。正面扉は小さく、大きな瓶ガラスの間に設けられている。かつては間違いなく立派だったのだ。
金属製の金具が扉の上の壁から突き出ている。看板が掛けられていたのだろう。
扉の隙間から、埃っぽい暗がりを覗き見る。明らかに、長らく打ち捨てられたままだ。
隙間に指を差し込んで引っ張り開けようとするが、歪んだ枠とその下の地面の間でつかえてしまい、1インチたりとも動かない。
「SIX!」
魔法を紡ぎ出すと、5体の複製が君の背後から進み出て半円状に並んだ。
全員で隙間に指を入れて引っ張る。ガタピシと激しい音がして、扉がゆっくりと開いた。埃と淀んだ空気が建物の暗がりから漂い出る。
一人、また一人と、君の複製が消えていく。
曲がった扉の枠を越えて中に入る。テーブルがぽつぽつと置かれた大広間が見える。床板の間から草が突き出ている。屋根は隅の方で崩落し、折れた梁にはツタが絡みついて、長いカウンターまで垂れ下がっている。
カウンターに歩み寄るが、遥か昔に斧で割られた樽がただ並んでいる。それでも瓶の棚は無事のようだ。
ここは宿だったに違いない。しっかり踏み固められた道のそばにあることから、旅人がよく行き来していたのだろう。
だが、荒廃してから長い年月が経っている。テーブルの上に取っ手のとれたマグがある。
部屋を横切って、狭苦しい通路が通っている。
棚を見渡す。ほとんどの瓶はワインか異国のエールだが、一つだけ君の目を引くものがあった。火酒だ!
だが、瓶は他のものと同様、すっかり空だ。
部屋の隅とがれきの山にざっと目を走らせる。朽ちた紙片と2,3枚の硬貨が目に入る。
紙は年月を経て脆くなり、文字もかすれている。かろうじて2,3行だけが読めた。

 手招き亭にようこそ、魔法使い殿、ここは要塞までの最後の憩いの場所ですぞ。
 1杯のエールが付いた温かい食事が銅貨2枚、パンとチーズが銅貨1枚となります。

この値段が妥当だとは到底思えないが、君が通り道で見つけた灯台はもう廃墟と化したので、この場所を建て直せないのが残念だ。
次に、身体を屈めて硬貨を拾い上げ、つぶさに調べる。ひどく薄い銅貨だ。緑青が出ている。片面には、爪を突き出して捕食する鳥の簡素な絵が描かれ、もう片面には、いかめしい顔つきをしたワシ鼻の女性の横顔が刻まれている。
肖像画の縁に沿って文字が書かれているが、これは君には理解できない言語だ。単に古代のものだからだろうか?それとも遠くの地からもたらされたのだろうか?だが、これまでの旅の中で、こんな硬貨もこの女性の肖像画も見かけたことはなかった。


【変化点】
・+古代の銅貨

【感想】
古き良き時代には、なかなか快適な宿だったようです。
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S4-25 19日目:ヴァリケッシュと名乗る女性 [ソーサリー4:王たちの冠]

「fAR!」
地面に座って水晶の球を取り出す。頭上の天体を探り、呪文を束ねる。すると突然、君はどこか知らない場所にいた…。

ここは酒場だ。しかし、今はきちんと整っている。2,3人の旅人がテーブルに着いて飲み物をすすっている。扉が開くのが見え、びしょ濡れの若い女性が入ってきた。
宿の主人がお辞儀をする。「ひどい夜でしょう?要塞へ行かれるので?」
彼女がうなずく。「ええ。あそこで学ぶつもりなの。私の名前はヴァリケッシュよ。」
君はそのままじっと耳を澄ませた。
「これはこれは、さようでございますか。」若い女性に片手を回しながら、主人が快活に答える。「ここには途中で多くの方が立ち寄るんです。ほとんどの方は戻ってこられませんが、そんなことはお気になさらず。さあ入っておくつろぎ下さい!明日の朝早くにご出立されれば、日の入り前にはあちらに着きますよ。」
女性がシチューの器を受け取った時、光景は消えた。これは過去の繰り返しなのだろうか?それとも幸せな未来の話なのだろうか?

ここを立ち去ることもできるが、玄関から奥に進んで広間を探索することにする。
奥には何部屋かあったが、そのほとんどが潰れており、入れそうなのは一番近い2つだけだった。一方は一人用のベッドがあるだけの小部屋だ。
空っぽの広間を見渡し、床に取っ手を見つける。地下貯蔵庫の類に通じている落とし戸だろうか?
君が落とし戸を開けると、それはきしみ音を立てた。かびの臭いが立ち昇る。
梯子を下りると、君の足元で踏み段が折れ、半ば落ちるような形になった。光が天井のひび割れから漏れ込んでくる。
暗がりをじっとうかがう。床は土の地面で、キノコが生えている。そして隅の方には、何と一本の木が生えているではないか!
木の高さは君の顎にようやく届くといったところだが、枝には2,3個の小さなリンゴが実っている。その中で食べられそうなものを一つもいで、荷物にしまい込む。
キノコは床一面に生えている。薄暗がりの光を反射して輝いているが、よく見ると微かに淡い光を放ってもいる。
とある隅っこに、ひと際密になって生えている箇所がある。そばでしゃがんで、2,3個ほど掴んでみる。思ったよりしっかりと地面に根付いている。少し引っ張ってみたものの抜けない。
キノコの集団を掴んでぐいと引っ張ると、一塊になって出てきた。それは全部同じ何かから生えている。
引っ張り続けて、その大元となっているものを掘り出す。
それは青白く不規則な形をしており、泥と湿気でぬめぬめしている。腐敗臭が鼻をつく。
泥を落とすと、臭いはさらに増した。表面を覆うキノコをそぎ落としていく。そのたびにキノコは地面を弾んで転がっていった。
そしてついに、君は自分が持っているものを判別できた。


【変化点】
・食料:10→11(リンゴ)

【感想】
アプリ版のエンディングには実に多くのパターンが用意されているのですが、この女性は出番こそ少ないものの、かなり重要な立ち位置で登場します。今回のリプレイでも「ifルート」として扱うかもしれません。
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S4-26 19日目:埋められた片腕 [ソーサリー4:王たちの冠]

それは一本の腕だった。地面に埋められてキノコが生えていたのだ。
思わず君はそれを放り出した。

感情を抑え切れず、また近寄って眺める。手はほぼ腐った状態だ。ねばつく肉の部分だけがキノコに覆われ、残りは乾いている。
誰がこれをここに埋めたのだろう?身体の残りの部分はどこにあるのだろう?
梯子のところに戻るが、先ほど壊してしまっていたのに気づく。もう踏み段は残っていない。君はここに取り残されてしまったのだ。
「ZIp!」
緑色の金属の指輪にツキがあることを当てにしながら、身体の周りに星をまとう。指にはめた指輪が大蛇の目のように光を放つ。
身体がねじれていき、君は目を閉じた…。

一瞬の後に、君は元いた階上の床に立っていた。
地下倉庫から脱出でき、ほっと安堵のため息をつく。

なおも廃屋の探索を続ける。
大部屋の朽ちた扉に手を触れると、それはすぐに開いた。木の表面から、不快な水がじくじくと染み出している。
部屋の中には多くのベッドがあるが、壁に寄せられて積み上げられている。衣装入れの鍵が壊され、蓋が開いている。
最初に衣装入れに注意を向ける。木片と土以上のものは見つからなかった。昔のとある時点で打ち壊されたであろう鍵は、そのひしゃげた形のまま錆びている。
腹這いになって、積まれたベッドの下を覗く。
マットレスからわらがこぼれ出ている。ネズミの巣と思われるぼろ布の山もある。
そんな汚物の中に、瓶が一本転がっている。
脆いわらの中から瓶を掴み取る。光の下で見ると、火酒だと分かった。どんな類の宿がこの瓶を売るというのだろう?
立ち上がって、上着に付いた積年の埃を払い落とす。
瓶の栓を緩める。ピリッと鋭い刺激臭でむせて咳き込んでしまう。これほど年月がたったにもかかわらず、まだ酒気が残っているとは、蒸留の質が高かったに違いない!
慎重に火酒を味見する。舌を凍てつく氷の上に載せて引きずったかのような感覚がしてくる。少し触っただけで舌が火花を発しそうだ。これは強力な代物だ!
栓を戻して荷物に加えから、いったん広間に戻る。


【変化点】
・+火酒(1本)

【感想】
ここはちょっとしたホラー場面ですね。掘り返してみたら片腕発見、慌てて脱出しようとしたら梯子は壊れていて、地下に取り残された状態…。実はキノコを食べる選択肢もあったりします。おえー。
とはいえ、遥か昔に埋められた腕がまだ腐敗したままとは考えにくく、ちょっと設定に無理があるような。
「What kind of inn sells potions of Fire Water?」という辺り、火酒は普通に売買されるものではないということ?それなら入手しにくいのも道理ですが。
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S4-27 19日目:少女の幽霊現る [ソーサリー4:王たちの冠]

廊下からざっと見たところ、奥の部屋は個人的な寝室のようだ。
だが中に入ると、そこには暴力が振るわれた形跡があった。
先ほどの大部屋と違って、家具は粉々に壊れ、所有物がそこら中に散らばっている。半分になった鏡が枠にまだ納まっているが、その木片は床に落ちている。
全く手つかずなのはベッドだけだ。苔むしたシーツの上には一片の覚え書きがある。
曇った鏡を覗き込む。この旅がどれほど君を老けさせたのか気付かされる。
その時、肩越しに何かがちらっと映る。何かが動いた?
さっと振り向くが、何もいない。
次に、椅子の足を手に取りながら、めちゃめちゃになった家具を眺める。
どこか恣意的に壊したように思える。乱闘ではこんな風にはなるはずがない。むしろ、誰かが直接家具を壊したかのようだ。
ベッドから覚え書きを拾い上げて読んでみる。

 恐怖だ!恐怖に包囲されてしまった。この宿は悪霊に憑りつかれたのだ。逃げねば。
 このメモを読んだ者は俺の忠告に従え。逃げろ!今すぐに!

背後から甲高い声がした。「でも、それは嘘なんだから。」
ぱっと振り返る。だが誰もいない。
それでも再び声がした。今度は廊下からだ。「彼は午後を丸々使って、それを書き上げたのよ。」幼い女の子の声のようだ。
「姿を現せ。」君が呼ばわる。
「私はここよ。」広間から返事が、そしてくすくす笑いがした。「鬼さんこちら。」
部屋から動かず、剣の辺りに手をさまよわせながら様子を見る。
何も起こらない。
「まだそこにいるの?」声が尋ねる。「こっちに来て欲しいのに。今までずっと話し相手がいなかったんだから。」
これ以上めぼしいものはないし、この部屋を出るしかなさそうだ。

部屋を出て廊下に戻る。
そこには女の子が立っていた。身体の前で腕を組んでいる。肌は生気がなく、緑色を帯びている。片方の目は失われており、髪の毛はわらのようだ。
君を見上げて微笑む。だが息をしている様子はない。
少女の幽霊が、足から足へ体重を移して踊る。「この状態だと何かを書くのはとっても大変なのに、それでも『彼』はあえてそうしたの。それくらい彼は頑固ってこと。家具の方はもっと楽だったみたい。私も少し手伝ってあげたわ。」
君を見つめる彼女の、瞳のない方の眼窩からミミズが這い出てきた。それは彼女の顔をずるずる這いずると、今度は耳の穴に入っていった。
君が幽霊に遭遇したのは彼女が最初ではないが、カーレの北門で会った時のロラグよりも状態は良くない。


【感想】
さらにホラーな展開。
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S4-28 19日目:青年の幽霊現る [ソーサリー4:王たちの冠]

「君は誰のことを話しているんだ?」君が尋ねる。
「友達のフィルドリックよ。」彼女が言う。「彼ならどこかこの辺にいるわ。私よりもっと長く眠っているけど、心配しなくていいから。」
「地下倉庫で俺が見つけた腕は君のかい?」君が尋ねる。
少女はぎょっとしたようだ。「私はあんな所に埋められたの?酷いわ。火葬することもできたはずなのに。」
「君はどうして死んだんだ?」君が尋ねる。
「ああ、恐ろしくて二度とは口に出せないわ。」言葉とは裏腹に、彼女が明るく答える。
「フィルドリックも死んでいるのかい?」
「ええ、そうよ。すっかりね。私が死んだ後に彼も死んだのだと思う。」
「それはどのくらい前なんだ?」
彼女が鼻にしわを寄せる。「答えにくいわね。うんと昔よ。浮かれ騒ぐ人や旅人で宿が一杯だったのは覚えているけど、それは私が死んだ後だったかしら?そうだったかも。」
「あの覚え書きには、この場所には悪霊が憑りついているとあった。」彼女に伝える。
「あれは嘘よ、その部分以外はね。」少女が答える。「憑りついているのは本当。でも私達は恐怖の存在なんかじゃないわ。それでね…、一つお願いしてもいいかな?」彼女の耳からミミズが頭を出す。
「いいよ、」君が応じる。「叶えられないかもしれないけど。」
「まあいいわ。」真剣な表情で彼女が答える。「でも簡単なことなの。私はここに長い間閉じ込められてきたけど、あなたなら私を自由にできるはずよ。」

その時、宿のフロントから声が響き渡った。「そこで止めろ!」
2人目の幽霊が広間に入ってきた。彼は体格のいい青年だ-あるいは、だった。今やボロボロになったフード付きのローブが身体の輪郭にまとわりついている。腕の肌は、服の所々と同じように、擦り切れて下から白い骨が覗いている。
「立ち去れ、」彼が君に向かって叫ぶ。「二度と戻ってくるな!ここに留まると死を招くぞ!あの覚え書きを読まなかったのか?」
「くだらない、」少女が鋭く言い返す。「この人間なら私達を助けられるのに。自由になれるのよ!」
少女を無視して、フィルドリックが君を冷たくにらむ。「間違いを犯すな、ばか。今ここを立ち去るのが最善なんだ。」
「どうして俺を出ていかせたいんだ?」
「死者と生者は出会うべきじゃないからだ。」
少女がくぼんだ目をぎょろりと回す。「そうやって、人間を怖がらせて追い払ってばっかり!私は人間と話したいのに、あなたは彼らを追い出すんだから。」
「それは本当なのか?」
フィルドリックがうなずく。「そうだ、でもそれは彼女が助けを求めるのを止めるためだけだ!彼女はひどくここを出たがっているが、俺達はそんなことをしてはいけないんだ!」
「私達を助けてよ。」大きな眼窩を君に向けて、少女が懇願する。
フィルドリックが首を振る。「駄目だ、駄目だ。あんたはここを離れろ。俺達は死者だから、あんたは俺達を怖がるべきなんだ。」


【感想】
第2の幽霊が乱入。ここまでは一見お笑いのようですが…。
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S4-29 19日目:解除の呪文らしき巻き物を渡される [ソーサリー4:王たちの冠]

「何が君達をここに縛り付けているんだ?」
「古い呪文よ、」少女が言う。「たった一つの単純なね。」
「誰が唱えた?」
フィルドリックが咳払いする。「年老いた誰か、じゃない、遥か昔の誰かだ。玄関を横切って唱えられた拘束の呪文が、霊魂を建物内に封じている。」
「その時、あんたもいたのか?」
「ああ、そうだと思う。呪文が唱えられた時、俺は生きていたような気がする。この子がどうだったかは覚えていないが。」
少女がその場でくるりと回る。「誰にも分かりっこないわ。」
「あんたは信用できないな、フィルドリック。」
「そんなことはどうでもいい!」突然、彼が絶叫する。「俺はあんたに出ていってもらいたいだけだ!」

少女が手招きして、君とフィルドリックを大部屋に案内した。
君が彼女についていくと、フィルドリックは悪態をついてぶつぶつと独り言をつぶやいた。記憶の糸をたどっているのだろう。
大部屋に入ると、少女はさっき君が気付かなかった古びたかごを指さした。かごの下の方に、かび臭い巻き物が詰め込まれている。
「これは何だい?」
「あんた、のろまなの?」急に冷たい声で彼女が命じる。「これは呪文よ。さあ手にとって!」
巻き物を拾い上げる。年月を経てひび割れているが、まだ読める。それには、宿にかけられた拘束の魔法に対する対抗呪文が簡潔に書かれている。君ならたやすく唱えられそうだ。
「フィルドリックが2,30年前にあの覚え書きを書いた後、私が呪文を写したの。」少女が言う。「古い方は使い物にならなかったし、間違った言葉で書いてあったから。」
フィルドリックが次第に興奮してきた。
「その元の呪文はどうやって手に入れたんだ?」
「ある旅人が残していったわ。」彼女が言う。
フィルドリックが首を振る。「それは道理に合わない。対抗呪文は対象となる呪文に合わせて作らなければならないのに。それは誰かが作ったに違いない。でもそれが誰か思い出せない。」
「それが何か問題?」少女がきつく言う。「いいこと?呪文はちゃんと働くわ。私達のために使ってちょうだい。」少女が君の腕を引っ張ろうとしたが、彼女の指は君の肘を通り抜けた。
「それが効き目があると、どうして分かるんだ?」君が尋ねる。
少女が丸い眼窩を君に向ける。「きっとそうなの、間違いないわ。」
呪文に視線を落とす。そこには星座しか書かれておらず、どんな星がそれを形作っているのかも、どんな意味があるのかも記述されていない。本当に何らかの効果があるのだろうか?
「これは引き受けられないよ。」君が少女に告げる。
フィルドリックがほっと安堵する一方で、少女が口をとがらせる。口の端が顎まで垂れ下がっている。
急に部屋が冷えてきた。


【感想】
ここでフィルドリックが、最初に「Someone old」と言ってから、「Someone long ago」と言い直しています。死者は知性が曖昧になっている模様。
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S4-30 19日目:本性を現した悪霊を退治 [ソーサリー4:王たちの冠]

少女の姿が縦に伸び始め、手足が部屋の影と混ざっていく。フィルドリックが後ずさる。彼の幽体がいつも以上に虚ろになっている。
「役立たずの生者め、」彼女が言う。「お前達にはたった一つの取柄しかないというのに。」彼女が君に迫るにつれ、その声がだんだん大きく耳障りになってくる。
君は銀の小剣を抜いて、少女に突き刺した。刃で切り裂かれるたびに、畏怖の唸り声が上がる。
「そんな、」彼女が金切り声で叫ぶ。「そんなことがあり得るのか…?」
彼女の姿が何か違う形に変わっていく…。
何度も斬り付けると、少女は完全な死霊の姿となった。だがあまりに長い間ここに封じられていたため、その力は弱まっていた。
彼女のボロボロの姿を切り裂くと、死霊の傷口から空気が四散していった。
少女が視界から消え去ると、フィルドリックが人目もはばからずにすすり泣き始めた。

まだ身体が震えるものの、宿屋のフロントまで戻る。
彼女が残した唯一のものは、扉のそばに落ちていた金髪のかつらだけだ。
それを拾い上げる。人間と植物の繊維が混じっている。
「彼女は望み通りに姿を変えられるのに、」フィルドリックがつぶやく。「何故わざわざそんなものに頼っていたのだろう。もしかすると、それが気に入っていたのかも。」
彼は玄関口でふさぎ込んだ。「もう満足しただろう?」君が近づいていくと、彼が言った。
「何故彼女の正体を警告してくれなかった?」
「しようとしたさ、」悲しげに彼が答える。「でも俺が思い出せたのは、あの呪文がいかに致命的かってことだけで、あんたはそれを無視したじゃないか。」
「分かるわけがない。」
「あんたが銀の剣を持っていたことだけは嬉しく思うよ。死が自由に闊歩するザメンでも、そんなものを持ち歩こうなんて大抵の人は思わないからな。」
「ここで何があった?」君が尋ねる。「さっき起きたことがよく理解できないんだが。」
彼がため息をつく。「彼女が俺を殺したんだ。この部屋で、彼女は俺の身体をズタズタに引き裂いた。たぶんここで俺を追い詰めた。拘束の呪文は彼女を捕らえるためだったんだが、俺は自分と一緒に彼女を閉じ込めた。だから、死んだ俺もここに囚われたのさ。」
「あんたは魔法使いだったのか?」
「魔法の学徒といったところだが、まあその通りだ。山中の要塞に住んで魔法を教えていた。だが、その生活のほとんどが思い出せないんだ。」
「マンパンについて教えてくれ。」期待を込めて君が切り出す。
「マンパンのことなんて何も知らない。」幽霊が苛立ちで唸り声を出す。「俺は精神も生命も失ったんだ、分からないのか?」
「でも、あそこでは学者だったんだろう?」
「あ、ああ、そうだった。」しばし、彼が声を落とす。「2つ,3つ思い出したぞ。魔法の練習と改良が行われた学校の教室。食堂での口論。外庭から中郭に通じるトンネル。あれは何回か使ったな。」
束の間、彼の目にきらめきが宿る。
幽霊が重々しく息を吐き出す。「さあ、俺のことはもうほっといてくれ。」フィルドリックが言う。「少なくとも、さっきよりはすっきりした気持ちで朽ちていけそうだ。」
扉に向かって後ずさる。フィルドリックは立ち去る君を見上げようともしなかった。


【手掛かり】
・内部トンネル…:外庭からマンパンの中郭に通じるトンネルがあるという噂だ。

【感想】
ここで少女の願いを聞き入れて解呪の呪文を唱えると、彼女は死霊の姿になって宿を飛び出していき、後日とある晩に襲ってきます。その姿はS2-101と同じです。
なお、この少女はS4-25で登場したヴァリケッシュとは別人です。念のため。
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S4-31 19日目:山頂の巣に忍び込む [ソーサリー4:王たちの冠]

マンパンはもうこれ以上待ってくれない。宿屋から歩み去り、元来た道を戻る。

廃れた道を下る。夕方になるにつれて風が強くなってきた。間もなく、また暗くなるだろう。無駄にしている時間はない。

南に伸びる道をまたたどる。右手に奈落が口を大きく開けている。太陽が地平線に向かって高度を下げていく。
峡谷にはロープの千切れた橋がぶら下がっている。

橋を背に、峡谷の縁を回り込む道を行く。今まさに太陽が沈んでいく。もうすぐ夜になる。
道が2手に分かれた場所まで来た。一方は山をくねくねと上り、もう一方は石の塔に向かって下っている。
さあ、どちらの道にしようか?

街道は山をぬって続いている。しばらくして、頭上の光景に足を止める。
岩の崖の遥か上に、小枝や苔でできた奇妙な構造物がある。まるで巨大な鳥の巣が広い岩棚に据えられているかのようだ。あそこまで岩壁を登れば、造作もなく中に入れるだろう。
荷物を離さないように注意しながら、岩肌をよじ登る。

岩を這い登り、巨大な巣のちょうど外にある岩棚に身体を引き上げる。
巣は山頂に自然にできた裂け目の中に、絡み合った小枝で造られている。
少し向こうで風が吹き抜ける。風で飛ばされるようなものは、とっくの昔に持っていかれたことだろう。
わら造りの壁の片側に暗い穴が開いている。君が中に這って入るのに十分な大きさがある。

穴をくぐって、巣の中心に潜り込む。
中は変わった鐘状の形をしており、空に向かって開いている。壁はわらで編まれ、羽根と毛皮の切れ端が敷かれている。
興味深く周囲を眺める。鳥にしては、たとえそれが巨大であったにせよ、信じられないような造形品といえる。どのような鳥がこれを作れるというのだろう?
巣を探し回すと、一方の壁に大雑把に包装された黒い仮面が見つかった。
だが、それを手の中でよく観察しようとした時、背後から甲高い声が聞こえた。


【変化点】
・+黒い仮面

【感想】
前にも書きましたが、ここは個人的にとても思い出深いシーンです。初めて原作のソーサリーをプレイしたのは第4巻だったのですが、最初のお宝はこの崖の上の巣で見つけた裏が金張りの鏡でした。しかし喜びも束の間、そのまま不可避のデッドエンドへ一直線。
しかーし、今回のアプリ版は一味違うのです!積年の恨み、今こそ晴らさでおくべきか~!
ちなみに、ここで発見できるアイテムは、現在の所持品で変わってきます。黒い仮面をすでに持っている場合は金張りの鏡に、それも持っている場合はまた別のアイテムになります。
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S4-32 19日目:転落死したバードマンを蘇生、情報を聞き出す [ソーサリー4:王たちの冠]

君が振り返ったちょうどその時、2対の爪が君の胸を切り裂いた。巣の持ち主が帰還したのだ。しかもそれは鳥ではなくバードマンだった!
バードマンはすでに翼を広げ、君の身体を引き裂こうと爪の生えた両手を構えている。敵意の込められた爪から君の血が滴る。対処する時間はほんのわずかだ。
「KID!」
呪文を唱えると、手首にはめた骨の腕輪が輝き始めた。どんな幻影にするかすぐに決めなければならない。
燃え盛る炎の幻影を創り出す。バードマンの両目が恐怖で満たされる。
一瞬の後、そいつは悲鳴を上げながら、巣から空中に向かって飛び出した。
だが、奴は自分が火だるまになった感覚を振り払えなかったようだ。まるで翼が焼け落ちたかのように、真っ逆さまに地面へ落ちていった。
奇妙な静けさの中、君は独りになった。

巣から這い出し、新鮮な空気と身を切るように寒い風の中、崖っぷちの上に立つ。
太陽はほぼ沈み、空が深い紫色に染まっている。じきにまた暗くなる。
眼下の道を目指して、ゆっくりと慎重に長い崖を下り始める。

崖の下にはバードマンの動かない身体が横たわっていた。しばらく様子を見るものの、バードマンは明らかに死んでいる。
奴の身体を素早く探るが、何も見つからない。バードマンは武器を携行しない-その爪で十分だからだ。
だが、片方の翼の下に黒っぽい奇妙なあざを見つけた。
羽根をどかしてそれをもっと近くで調べる。まるで粗末なナイフで付けたような、武骨な切り傷の類だ。2つのSの文字が組み合わさっている。
傷は色があせ、歪んでいる。まだ若い頃に付けられたものに違いない。
「RES!」
聖水を荷物から取り出し、呪文を唱える。聖水が光を放ち始め、内なる光で輝く。
輝く聖水をバードマンの潰れた身体に振りかける。
最初は何も起こらなかったが、やがてあえぐ声がして、そいつは身体を起こすと苦痛の叫び声を上げた。
奴が熱を帯びた恐怖の眼差しを君に向ける。
「落ち着け、」両手を上げて君が語り掛ける。「落ち着くんだ、できるな?」
「だが、全ては失われてしまった。」バードマンがうなる。「彼がもうすぐ来る、なのに俺は飛べない。」
「誰が来るんだ?」
「この地の希望が来るんだ。でも、俺達の助けなしでは、彼はきっと死んでしまう!」
「誰のことを話しているんだ?」
「シンの信奉者達が待っている…。」喉をガラガラ鳴らしながら、そいつが答える。もっと近くに寄れと、爪で合図してくる。
近くににじり寄って、今わの際の言葉を聞き取る。
「彼らは身を潜め、目立たないように活動している。連中はどれも同じに見えるが、そうじゃない。生まれから違うんだ。」
彼が荒々しく咳き込み、喉から小さい羽根を吐き出す。「覚えておけ、」激しい痛みの中、彼が言葉を継ぐ。「…彼らは母親で判別できる。」
「それと腕のあざで?」
バードマンが2度うなずく。「彼らには母親がいるんだ。」彼はもう一度ささやき、それから死んだ。魔法が消え、真っ黒なガラス玉のような鳥の目が再び暗くなり、身体ががくりと崩れ落ちる。
遺体を腐肉漁りどもに任せ、この場を立ち去る。


【変化点】
・現在/最大体力:12/17→9/17(バードマンの攻撃)
・-聖水

【手掛かり】
・シンのバードマン:バードマンのある集団は大魔法使いと折り合いが良くない。彼らは自分達を「シンの何か」と呼び、君は彼らの母親について尋ねるよう助言を受けた。

【感想】
シンのバードマンの一員だった彼には気の毒なことをしましたが、主人公も敵地によもや味方となりうる勢力がいるとはつゆも思わないでしょうから、ここは致し方ないところかと。しかもバードマンは、王たちの冠を盗んだバリバリの実働部隊という。
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S4-33 19日目:噴火口の茂みで一夜を明かす [ソーサリー4:王たちの冠]

ここからは道が山頂を両側に切り開きながら、大雑把に北の方角へと曲がっている。
緩やかな勾配を下る。マンパンの姿が再び視界に広がる。まるで、要塞に近づく者がその威容を忘れられないよう、山道をわざと曲げて造ったかのようだ。
道の前方に目をやると、地面が崩れているのが見えた。岩の縁が地面から鋭く突き出ている。
君の前に噴火口が広がっている。まるで山頂が丸々えぐり取られたかのようだ!ここを横切る道を見つけなければならない。
また夜が始まった。眠る場所を見つけるべきだろう、空腹を抱えているなら尚更だ。

僧服のへりに邪魔されながら、噴火口の縁を不器用によじ登る。
最後の数フィートで横滑りしたものの、ついに道らしきものの上に着地する。
怪我はないが、もう上に戻るすべはない。
ここからは噴火口を下る道が伸びている。両側には縁を南北につなぐ道がある。
噴火口を下る道は君が思っていたよりも広く、踏み固められている。マンパンへの主要な道ではないが、まだ多少は使われているに違いない。
月が高くなってきた。夜気は涼しく、歩くには具合がいい。

下り道をたどるが、それは茂った雑木林で途絶えていた。どのみち、暗闇ではこれ以上道が見えない。

噴火口の盆地を覆う雑木と格闘しながら進む。ここでは一寸先は闇だ。
だが、道の片側が藪になったこの場所なら、落ち着いて眠れるかもしれない。
背負い袋を置く。風にめげず、僧服をまとった身体を伸ばそうと努める。今日はまだ何も食べていない。
その時、身体のかゆみに気付く。おそらく僧服からノミが移ってきたのだろう。
いぶした魚を一食分食べると、気分が良くなってきた。これで快適に休めそうだ。

夜の残りは鮮やかな夢で占められていた。
君は黒タイルの高い塔の天辺で、片手で壁面にしがみつき、もう片手で何かを空中に描いている。
見下ろすと、マンパンの中心にある、空高くそびえる大魔法使いの塔の天辺にいると分かった。
その時カーカーと鳴く声がして、巨大な影が君に向かってきた。バードマンか?いや、金冠ワシだ!輝きながら視界に入ってくる。
サイトマスターが君を見ている。君を家に連れ帰ろうとしているのだ…。


【変化点】
・現在/最大体力:9/17→8/17(ノミ)→10/17(食事)
・食料:11→10

【感想】
こんな不便で不潔な僧服は早く脱ぎたいところですが、変装した方がいいこともあるのでまだ我慢。
この噴火口に下るルートがかつての主要道路だったようですが、後で判明する地殻変動のため今は寸断されています。ちなみに、噴火口を右に回ると道が崩れて進路変更を余儀なくされ、左に回ると衛兵詰所があります。
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S4-34 20日目:歩哨のコウモリに通報される [ソーサリー4:王たちの冠]

翌朝、立ち上がって、陽光の下で辺りを見回す。少し前方に黒い塊が木にぶら下がっている。
その漆黒の塊は長く、少なくとも6フィートはある。微かに左右に揺れながら、木に引っ掛かっている。

近寄っていくと、塊から地面の杭へと鎖が伸びていることに気付く。それに、この塊はどこか毛むくじゃらでもある。
さらに近づくと、長い口先と大きなピンク色の口を見つけた。こいつは巨大コウモリだ!シャムタンティの丘にいた奴よりも遥かに大きい。
幸いにも、そいつは上下逆さまでぶら下がったまま、翼を畳んでまだ眠っている。この化け物の深いいびきが聞こえる。
地面とコウモリの足を繋ぐ鎖を目で追う。コウモリが木から飛び立つには十分だが、それ以上遠くには行けそうにない長さだ。
誰がこんな噴火口のど真ん中に巨大コウモリを置いたのだろう?
じりじりと後退する。化け物は少し身じろぎしたが、それ以上は何もなかった。
鎖につながれたコウモリはまだ目を覚ましていない。気付かれずにすり抜けられるかもしれない。

背負い袋をしっかり背負い、化け物の下を這って進んでいく。君が木の下を通り過ぎる時も、そいつは騒々しく眠っていた。
だが、化け物が鼻を鳴らして気を取られた君は、小枝を踏んで音を立ててしまった。
君は他の小枝に注意しながらも、お構いなしにそのまま進み続け、もうすぐ岩場という所までたどり着いた。
だが、時すでに遅く、被害は生じていた。皮の翼が羽ばたく音が背後から聞こえ、2つの鉤爪が君の背中を引っかいた。
地面にひっくり返り、苦痛で息を吐き出す。
コウモリが手の届かない高さまで上昇していく。まるで木よりも高く飛ぼうとしているかのようだ。

そのまま見送ると、そいつは一番高く飛んだところで口を大きく開いた。
音は発せられなかった。あるいは、少なくとも君には何も聞こえなかった。
だが、君が北の方角に目を向けると同時に、2つの黒い影がマンパン要塞の上空を離れるのが見えた。

君が見守る中、影が次第に大きくなる。間もなく、それが何かはっきりと分かった。
バードマンだ、君のいる場所をまっすぐ目指している。
対処する時間は2,3分しかない。


【変化点】
・現在/最大体力:10/17→12/17(睡眠)→10/17(巨大コウモリの攻撃)

【感想】
巨大コウモリをやり過ごしたり倒したりするのは比較的たやすいのですが、後で特別なイベントを起こすには、主人公の現在地を大魔法使いに知られている必要があるため、ここであえて通報される選択肢を選びました。せっかく第3部で七匹の大蛇を全て討ち取ったのですが、イベント優先のため、あえてね。
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S4-35 20日目:魔法の盾を携えてバードマンと戦う [ソーサリー4:王たちの冠]

「WOK!」
手首の上に金貨を1枚載せて呪文を唱えると、一瞬で金貨は消えた。代わりに、見えない盾の重みを腕に感じる。
低くて平らな岩を見つけて、その下に潜り込む。
地面に映るバードマンの小さい影が、君が隠れた場所に向かってくるのが見える。

その場に留まったまま、影が荒れ地を飛び交うのを見守る。
開けた平原はバードマンに好都合だ。もし君が姿を現してしまったなら、奴らは君が倒れるまで急降下して攻撃を加えられるのだから。
バードマンの1人が地面に降下して、影が大きくなる。それから君の視界から消える。
夢中になって耳を澄ませる。
頭上から激しく言い争う声が聞こえてくる。バードマンが君の隠れている岩のちょうど真上に着地したのだ。
息を殺して様子を見る。バードマンが再びキーキー声を上げ、くちばしを2,3回鳴らす。2人目がどこにいるかは分からない。

岩の下から転がり出て暗殺者の剣を抜く。バードマンが君を横目でにらむ!
奴は君に真っ向から無慈悲な攻撃を加えてきた。やみくもに繰り出した君の剣が、幸運にもそいつの喉を貫く。
そいつはゴボゴボと喉を鳴らすと、岩にくずおれた。君の頬を血が伝い落ちる。
だが今の乱戦は奴の相棒に気付かれてしまった。
彼女が着地して、鉤爪を構える。君も備えねば!

<第1ラウンド>
バードマンが爪を伸ばして君に向かってくる。化け物を真っ二つにしようと剣を強振する。
彼女は最後の瞬間に脇にかわして、君の剣からほとんど逃れてしまったが、それでも叫び声を上げさせるくらいには手ごたえがあった。
バードマンが残虐な雄叫びを上げ、翼を大きく開く。

<第2ラウンド>
バードマンが猛烈な勢いで突っ込んできて、君は盾の背後に身体を伏せた。衝撃でふらつきながらも、打撃を反らす。ほぼ無傷のままだ。
彼女は翼を羽ばたかせると、次の攻撃に備えて勢いをつけようと少し高度を上げた。

<第3ラウンド>
バードマンが腕を開くのを待ってから攻撃を加える。君の剣が空気を分断し、大きく開かれた翼の間を捉える。化け物が下品な悪態をつく。
くちばしを開いて叫ぶと、彼女は足下の地面を引っかいた。

<第4ラウンド>
盾の後ろに身を隠す。不意に翼を一閃させて君の首をはねようとするものの、君はそれをかわす。
再び爪を打ち鳴らす。まだ戦うつもりだ。

<第5ラウンド>
好機が訪れた。剣を強く繰り出す。一方、彼女の攻撃は及び腰だ。
バードマンの羽ばたきが弱くなってきた。力を失いつつあるのだ。
彼女が長い爪を誇示する。

<第6ラウンド>
また盾に身を隠す。物騒な翼で君を薙ぎ払おうとするが、素早く脇に避ける。
彼女が長い爪を伸ばす。

<第7ラウンド>
意表をついて前に飛び出す。君の剣が光のように動き、相手を切り伏せる。
身体から羽根を漂わせながら、彼女が地面に倒れる。目に宿る野蛮な光が暗くなっていく。

彼女の身体が塵の中に横たわる。盾がちらちらと揺らめいて消えた。


【変化点】
・現在/最大体力:10/17→9/17(魔法)→7/17(バードマンの攻撃)
・金貨:74→73(魔法)

【感想】
高地ザメンといえばバードマン。やはり強敵でした。魔法の援護がなければ、2人が相手では負けていたでしょう。それにしても、ダメージ0でパワーが貯め放題になる「WOK」は壊れ性能ですわー。
なお、2人目は女性なので「Birdmaid」と表記されていましたが、日本語ではバードマンのままでいきます。
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S4-36 20日目:アルグバッドの住民 [ソーサリー4:王たちの冠]

この場所には一向に晴れない暗がりが立ち込めている。2,3羽の鳥が弱々しく哀れな声でさえずる。
火口を抜ける道が東西両側にある。一方は火口の縁沿いで、もう一方は火口寄りだ。
東の方角には薄い煙が立ち上っている。
見たところ、煙は常に出ているが、色は薄い。焚火の煙よりも霧に近い。

火口を抜ける道を途中から外れ、立ち昇る煙の方へ向かって、緩い地面を横切って歩く。
空気が暖かくなってきた。地中深くまで達する地割れらしき場所に近づくにつれ、君の背中を汗が伝い落ちる。
地割れの縁に慎重に歩み寄る。ここは心地良いくらいの温かさで、足元には柔らかい苔が生えている。
2,3分おきに、過熱された蒸気が音を立てて噴き上がっている。大気にはそれ以外にも何か感じられる。風だろう、たぶん。声のはずはない。
噴火口は地面にギザギザに開いた割れ目だ。黒い岩に深々と裂け目が入っている。立ち昇る蒸気の雲の中に、奇妙な人影がちらつく。何かをささやいているようにも見える。
耳を澄ませると、噴火口の深みから遠い声が聞こえてきた。まるで、君に話を聞いてもらおうと集まりささやき合う人々で一杯の部屋の、階上にあるバルコニーに立っているかのようだ。
だが、どうすればあそこで生きていられるというのだろう?
声はぶつぶつ不平を漏らしたり罵ったりしている。
「そこに誰かいるのか?」君が呼び掛ける。
声が大きくなって返ってくる。互いにざわざわとささやき合っているが、彼らの言葉は君の知らないものだ。
噴火口の近くは暖かいにもかかわらず、生き物の姿はない。
「RAp!」
緑色のかつらを引っ張り出し、頭に被ってから呪文を唱える。
噴火口から聞こえる声が、悪態、嘆き、不平の不協和音へと変わる。彼らは混乱し、ほとんどの者が支離滅裂になっているのだ。
声の主達にあいさつをすると、驚きの声が返ってきた。火口付近で緑色の影がちらつく。
「あんたには俺達の声が分かるのかい?」一人が尋ねる。「姿も見えるのか?俺達は生きているのか?」
「あんた達は死んでいる、」君が告げる。「幽霊だ。」
「そんな!」一人が泣き叫ぶ。
「いや、そうなんじゃ。」別の声が悲しげに言う。「わしらは死んであまりに久しいから、死んだのを忘れてしもうたんじゃよ。」
「あんた達は何者なんだ?」
「わしらはアルグバッドの死者でな。ここの村に住んでおった。それももう失われたがの。」
「この火口は、住むにはあまりに寂しい場所じゃないか。」塵にまみれた大地を眺めながら、君が言う。
「以前はこんな有様じゃのうてな。わしらはただの商人や農民で、周りの土地も活気があって肥沃じゃった。向こうの方に多くの旅人や学者が行き交う道があって、わしらのうちの何人かは宿屋に商品を売っておったものよ。」


【感想】
新年初投稿。今年中に終わらせられるといいなあ。
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S4-37 20日目:住民の幽霊から聖水をもらう [ソーサリー4:王たちの冠]

「どんな経緯で死んだんだ?」君が尋ねる。
「台地が裂けたんじゃ。全ての家が倒れ、炎に包まれた。この噴火口だけが残り、わしらはここに閉じ込められてしもうた。岩が押しつぶし、熱が焼き焦がしてきよった。」
君の周囲で嘆き悲しむ声が上がる。「まだ肌でそれを感じるの!」一人が叫ぶ。
「俺がしてやれることがあるかい?」
「死者をどうやって助けるというんじゃ?」
「火を消してくれ!」一人が叫ぶ。「あんたはアナランド人じゃないのか?」
一瞬君が凍り付く。
「…俺がアナランド人だ。」君が宣言する。
「偉大なるお方よ。」「予言されていたあの人が。」次々と声が返ってくる。「私達の救世主だわ。」「俺達の希望だ。」
「あんた達を助けるには遅すぎたよ。」君が言う。「もう死んでしまったのだから。」
「向こうの要塞の下には死の川が流れておってな。中には人々が囚われ、大魔法使いにすり潰されながら何とか生きながらえておる。」
あらゆる声が叫ぶ中、一斉に上がった声が喧騒を貫く。「呪文を破るんだ。彼を倒してくれ。そうすれば成仏できる。」
「どうやったら奴の元にたどり着ける?」
「奴は自分の塔に隠れておる、」声が答える。「わしらから、死から、死神からも身を隠してな。じゃが、奴の塔に入るにはある鍵が必要じゃ。」
噴火口から何かがせり上がってきて、君の足元に置かれた。拾い上げると、それは内側から光り輝く水の入った瓶だった。
「それを落とすでないぞ。」声がささやく。「それはカオス神自らが祝福されたものじゃ…。」
それを掲げて眺める。聖水だ。確かに力のある品だが、それでどうやって大魔法使いの塔の扉を開けるのだろう?
呪文が弱まってきた。頭のかつらを脱ぐと、彼らの言葉は再び意味のない音に戻った。
束の間、瓶を光にかざす。輝きの中に、冷酷なあの神の笑顔が見えたような気がしたが、やがて見えなくなった。
蒸気が噴き上がり、やがて近くの苔の上に露のように落ち着く。

噴火口から遠ざかるにつれ、空気が冷たくなっていく。


【変化点】
・+聖水

【手掛かり】
・聖水が塔への鍵だ:アルグバッド噴火口の幽霊が、聖水が塔への鍵になると教えてくれた。だが、そんなに単純なはずがない…。

【感想】
カオスは、S3-22で主人公に非情な選択を迫ってきた、いけ好かない神です。
ここで幽霊から聖水をもらった際、RESを唱えてから聖水を噴火口に注ぐこともできます。アプリ版でたまに出てくる鬼畜の所業がここにも[がく~(落胆した顔)]
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S4-38 20日目:マンパン要塞の威容に気圧される [ソーサリー4:王たちの冠]

歩いていくと、低い建物の前に出た。空気が君の周りで微かにそよぐ。まだ冷たいが新鮮だ。
風が建物の上層をなめていく。掴み草と黄色いガイラルディアの花が、割れた窓から飛び出ている。
この建物は、かつて宿屋か交易所か、あるいは大要塞へ向かう新参者を迎える案内所だったのかもしれない。それも今では、元の状態の半分ほどまで崩れている。
ガイラルディアを一輪引き抜く。その黄色い花は、ほとんどの野草がそうであるように何の役にも立たない。君はそれを脇に投げ捨てた。
骨組みに手を掛け、傾いた戸口をくぐって中に踏み込む。

崩壊した建物に入る。屋根がないので空に筒抜けだ。
念入りに部屋の残りを調べるが、興味を引くものは見つからない。内部はほぼ空っぽだ。
だが、一方の壁に伝言のようなものが刻み込まれている!
 「…スローベンドアを…三番目の呪文は…不可視の…」
興味深い内容だ。

戸口が君を招いているが、準備がまだだ。建物の輪郭で縁どられた空が君の思考を静めてくれる。目を閉じて、ゴリラの精霊に祈りを捧げる。
大いなる平穏が訪れるのを感じる。君はマンパンに近づいたが、まだ束の間の平和が得られるのだ。
さらに、荷物から調理した魚を一匹取り出し、空腹を満たす。
ここですべきことはもう何もない。古めかしい建物の外に出て、外光の中に戻る。

道まで引き返してから、もう一度周囲を見回す。道が幾つかの方向に伸びている。

2,3個の雲が天空を流れていく。
東の道を行く。道は岩に開いた深い割れ目のそばを通っている。割れ目は南へいくほど、どんどん深く広くなっている。
割れ目を越える方法はないが、それに沿って道が両側に伸びている。

火口の縁に開いた、埃っぽい曲がり道を上る。地平線が迫りくるマンパンの威容で唐突に占められる。
朝の時間が進むにつれ、風が強くなってきた。
その存在に魅了され、君の目が要塞の壁の輪郭をなぞる。まるで必死で天に祈る者のように、凸凹した尖塔が空に向かってよじれている。
鋭角で尖った先端がそこかしこに突き出し、悪魔のガーゴイルが壁の外側に並んでいる。
目を反らそうとするがどうしてもできない。まるで塔が君の目を握っているかのようだ。
その眺めはどんな勇敢な兵士の勇気もくじいてしまうだろう。それは君にも言えることだ。
君のみぞおちに恐怖がそのしこりを埋め込んだのを感じ、思わず身震いする。
要塞の光景に震えながらも、君は前進しようと無理やり自分を奮い立たせた…。


【変化点】
・現在/最大体力:7/17→12/17(祈り)→14/17(食事)
・食料:10→9

【手掛かり】
・スローベンドア:…スローベンドアを…三番目の呪文は…不可視の…

【感想】
「Brightspark」という植物が何か分からなかったので、「~スパーク」という名の品種があるガイラルディアを当ててみました。
マンパン要塞の遠景の挿絵が原作にもアプリ版にも載せられていますが、あれは確かにおどろおどろしく、かつてプレイした際には主人公と同じように恐怖におののいたものでした。
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この場面では、上が東で右が南。
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S4-39 20日目:俊足で監視兵を振り切る [ソーサリー4:王たちの冠]

噴火口の奥側の坂道をよじ登り、元の広い道に再び合流する。
ここはマンパン要塞への唯一の道なので、厳重な警備が敷かれているはずだ。道全体にわたって衛兵が配置されていることだろう。
岩だらけの狭い道を忍び足で進む。

ゆっくりと前進していくと、両側の岩壁が近づいてさらに狭くなってきた。他に抜け道はない。
道はそそり立つ要塞に近づくにつれ、緩やかに曲がりながら前方に続いている。荷車がかろうじて通れる幅だ。両側には山がそびえている。
土砂崩れが起きれば、あっという間に君は生き埋めになってしまう。バードマンは上空で君を待ち受けているのだろうか?
息を沈めて聞き耳を立てる。道を吹き抜ける風の音が聞こえるだけだ。
岩を掴んで岩壁を登ろうと試みるが、あまりに急峻過ぎる。2,3フィートよじ登っても、すぐに滑り落ちてしまう。
道は開けている。あからさまな罠も、そして迂回路も見当たらない。前進あるのみだ。

道に沿って、用心しながら歩を進める。
かろうじて馬が2頭並んで進めるだけの幅はあるが、両側には高い岩壁が脅すように迫っている。
君の回りに星の光が集まる。ここには魔法がある。
前方を見やると、崖の輪郭が幾分滑らかになっているのが分かる。まるでわざと岩が取り除かれたかのようだ。
さらによく観察すると、地面の縁から突き出た矢じりが見えるではないか。
「NIP!」
背負い袋から黄色い粉を取り出し、鼻で嗅いでから呪文を唱える。血管が激しく脈打つのを感じ、急に周囲の世界の動きがゆっくりと見えてくる!
そのまま全速力で駆け出す。

ぼやける岩壁を横目に、落ち着いて道を通り抜ける。
頭上から低いうめき声が聞こえたが、そのまま無視する。それが何であれ、今の君はたやすく置き去りにできるのだ。

道の終点まで来た。
険しい山頂の間の道をたどる。君の速さが鈍ってきたのを感じる。
太陽が天頂に向かうに従い、風が少し出てきた。
やがて道が開け、君は要塞の門の全貌を初めて目にした。20日間の行軍と苦難の果てに、ついに君はたどり着いたのだ。
ここからは、町の上空を縦横にそして端から端まで、飛び交いながら警備しているバードマンが2,3匹見える。何かを探しているようなそぶりだ。君の到着は遅過ぎたのだ。


【変化点】
・-黄色い粉

【感想】
ついに、マンパンの門までたどり着きました!第4部は、ここまではほんの序の口なのですが、この時点ですでに40話近くになっています。それでもまだ中に入っていないという。
Sorcery! 4_Screenshot_2020.01.27_12.11.23a.jpg
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